こいつ、いつも楽しそうなばかりでなく
この頃、高学年のことを書くことが多かったので、低学年のある子のことで、ずっと感心していることがあるのでお話ししますね。ちょうど、つい先日も、「こいつ、すごくなったなぁ」と強く感じたことがあったので。
その子のことを取り上げるのは、子どもの様子のことで色んな方からご相談を頂くことが増えているからです。
さて、その子。動きがルーズなところがあり、一年前は、友だちにケガをさせてしまいそうなこと、自分がケガをしてしまいそうなこと、そのどちらもありました。
楽しいのはいいのですが、どんどん楽しくなり、「楽しい」が強くなりすぎ、注意力が働かなくなってしまったり、動きがルーズになってしまったり。
その子が大ケガをするのも嫌ですし(小さなケガは逆に必要なのでいいのですが)、誰かに大けがをさせるのも嫌です。
ケガをさせた場合、相手の子もかわいそうですし、ケガをさせた側の子もかわいそうです。保護者の方も、気持ちの面でとても疲れてしまうことになります。
本当は、子どもなので、まだわからないことが多く、色々な経験を通じて覚えていくべき年代ですが、今は、そのような見方をできる現場は学校でも公園でもおそらくないか、あっても本当に少しでしょう。
そのような場で何かあった時は、保護者の方の心理的な負担がとても大きくなります。少しのケガでもそのようなことになってしまうことがあります。
ですが、ソラの中では、子どもが練習する様子をご覧になっている方が多いこと、もともと子どもたちの様子を余裕を持って見ることができる方が多いこともあり、とても自然なやりとりをすることができ、そのような土台があるので、言葉での説明を加えて行けば、まずどの子にもそのような様子があることをご理解頂くことができますので・・・。
ですから、できる限り自然な状態にしています。他の場で覚えることが難しい分、ここでは覚えさせてあげたいとも思っています。先ほど書いたように、現代では、ケガをした子、させた子、どちらにとってもマイナス面が多すぎます。傷ついた側も、傷つけてしまった側も、その保護者の方も傷つくことになってしまうことがありますので。
また、そのようなこととは別に、大きなケガは(防げるものは)防ぐべきですし、防ぐ注意はすべきです。
ここではそうならないように・・・。
そのため、その子には、楽しくてもルーズな部分は直すように話して行きました。(そのような言い方はしていませんが。)
ルーズな部分を直すだけですが、短期的に見たら、また、部分的に見たら、本人の楽しみが減ってしまうように見えるかもしれません。ですが、長期的に見れば、また、
他の場でのことまで含めて考えれば、本人が楽しめる時間は確実に増えます。
こうしたことの改善方法は色々とありますが、その子の場合は効果的な方法を同時進行で全て行う感じで行きました。
その中では、その子にかなり厳しめに伝えることもありました。
厳しい注意が全てNGとなっている場が多い現代、または、本当に行きすぎの厳しさが存在する現場もある現代(この混在ぶりが困ったところですね)では、「?」と思われるかもしれない厳しさですね。
でも、必要なものもあるので。
で、その子・・・今どうなっているかというと、とんでもないのです。
「危ない!!」という場面を見ません。
なぜなら、そういう時に、しっかりと体が危険を回避する動きを取れるからです。「動きを取れる」というより、この子がしっかりと意識して動きを変えるからです。
察知して止まる、急に止まったら逆に危ない時や急に止まれない時は動きを活かしたままかわす、よける。もし、それでも少し当たった時には「大丈夫?! ごめんね!」とすぐに声が出る。声の速さ、強さはいつも的確です。それぐらい頭が働いているので、実際に、危険を回避する動きを取れているのです。
もう少し説明すると、例えばボールを触ろうとしている場面では、ボールを触ろうとして全力で行きます。でも、「触れるか?!」という寸前に「相手の方が先に触る」とか「相手の足に当たってしまう」と感じ取り、本当に直前で動きを変えるのです。
そういう時でもとても楽しそうな声を出していて、表情も動きも、一般的なサッカーコーチが見たら「ふざけている」と見えるような感じなのですが、頭はそういう見かたをする方たちが考えている何倍も、何十倍も働いているのです。
逆に、こうした時に、「一生懸命」に見えても実はルーズな動きをしている子も(ソラの中にはいませんが、一般的には)多くいます。相手の足を蹴ってもいい一生懸命って・・・私からしたら、それはルーズです。本人の枠を超えた、過剰な一生懸命。ただ、一般的な場では、こうしたプレーは、本人が自然にたどり着く枠を超えていても、顔がひきつっていても、そして、その結果、動きに精細さも精彩さもなくても「一生懸命」と見られ、「ルーズ」とは見られないことが多いです。
そういう視点とは違う、子どもとして、その子としてのルーズ・・・ここで気にしているのはその部分です。
そういう部分で・・・その子は本当に繊細な動きもしていて。
今は見る度に、「こいつ、こんなに頭が働いているのか?! そして、こんなに動きを調整できるのか?!」と感心感心感心・・・。
ついでに言うと、そういうプレーなどだけでなく、会話をしていても、頭の回転がどんどん速くなっているのがわかります。次を考える、次の次を考える、いくつか先を予想する・・・こうした部分の力がどんどん上がっています。マヌケなことをめちゃくちゃ笑いながら言っているようですが、私が高学年の子としているやりとりを自然にこの子としていることもあるくらい・・・。まあ、本当にお間抜けなことばかり言っているのですが。
初めの段階ではかなり厳しい言い方をしたこともありますが、それがトラウマになっているようなこともなく、この子がもともと持っている、楽しんでいる時に見せる動きをなくすこともなく(逆にパワーアップしています)、楽しんでいる時に見せるめちゃくちゃ楽しそうな顔がなくなることもなく(こちらも逆にパワーアップ)、成長を続けています。私とのやりとりの雰囲気はずっと変わりません。ずっと冗談を言ってきています。子どもに対する働きかけのNGやらOKやら色々と取り上げられることがありますが、それらが当てはまらないことも多くあるということをこの子が証明しています。私は一般的にはNGと言われることでもよくやりますが、この子はこの通り。(ついでに言うと他の子たちもあの通り。)
・・・本当に驚くほどの成長を見せています。ただ、それでも興味の持ち方はまだまだ子どもの範囲なので、ゲーム中、「さっきの場面」の話に夢中になっていたり・・・と言っても数秒ですけどね、その数秒でも危ないので「こらぁ」と私にまだ注意されています。
これぐらいがちょうどいいので。
ちなみに、その子に助けられている子はたくさんいます。
気持ちが落ちた時、一人になった時、痛い時、悲しい時・・・色んな時に、その子は周りの子を助けています。
そして、ソラにはこういう子がたくさんいるので。
あいつら・・・結構やりやがるんですよ。
今、こうした「ふざけているように見えてしまう」「集中力がないように見えてしまう」「行動がルーズ、または強いこだわりがある」ということでのご相談を頂くことがありますが、先ほど書いたその子にもそれはすべて当てはまります。だって、そういう年齢なので。
でも、先ほど書いた様子から、その子がいかにしっかりと成長しているかがわかってもらえると思います。
ぱっと見や、外での評価より、伸びる力を信じましょ。
ということで、低学年の子の話でした。
・・・あ、そうそう、そういうちょっと「?!?!」というコーチングですが、こうして子どもたちが伸びていますので、私は伸びているあの子たちを信じて今のコーチング(?!)を続けていきます。
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