犬と少年
今日、ちょっとした光景を見ました。
長い道を歩いていると、先の方に、お店の前でちょろちょろ動いている少年が見えました。バス停でバスを待っているようです。その子は、バス停のすぐ後ろにあるお店(閉まっている)の方を見て、何かを投げるしぐさをしているのでした。
私から見えた時にはすでにやっていたので、もう数分はやっていますね。そばまで行った時に歩きながらちょっと様子を見ると、ガラスの向こう側に犬。その犬の目の前を通るように何かを投げるしぐさをしていました。でも、まったく動かない犬。だから、投げるしぐさを繰り返していたのですね。それにしても、そんなに動かないわけないだろうと、ちょっと犬を見たら・・・人形でした。私が通りすぎる頃には、そばにある木から葉っぱを取り、葉っぱを投げていました。たぶん、それなら犬の目にも入り、動くと思ったのでしょう。何度も繰り返していました。
犬を人形だと気づかずに、色々とちょっかいを出す少年。普通に見たら、「かわいいな」と思える光景なのに、私はそうは思えませんでした。子供は、たぶん、4年生か5年生ぐらいかな。もう、人形と本物を区別できるんじゃないかな、と。
もしかしたら、よく見えないのかもしれないし、ガラス越しでわかりにくいのかもしれません。犬が恐くてそばに近寄れないのかもしれません。
でも・・・何回投げてもピクリともしていないんですよ。「あれ? どうしたのかな?」って、様子を見ないのかな。そう、どちらかと言うと、そういう様子(確認する様子)がなかったことに、私は驚いちゃったんです。
こうなると思ってやったら、そうはならない。繰り返すけどまったくならない。おかしいぞ。何でだろう?・・・となれば、相手を見るでしょう? 信じ込んでいるとしても、その反応によっては、あれ? と見るでしょう。
よく、相手の表情を見る機会がどんどん減っているなって考えます。街の様子、子供の様子を見て。そんな風に思っているからでしょうか。この、犬の人形に、ちょっと様子が変でも同じことを繰り返すこの少年を見て、相手を見るっていうことを普段どれぐらいしているのだろうって、そう思っちゃったんですよね。5歳とか6歳の子ならかわいく見えたかもしれないですけど、もう高学年になっている子。少なくとも、一人でバスに乗ることができるぐらいにはなっている子。
・・・友達と遊んでいると、自分がこういう風にしたら、相手はきっとこうするだろうと思って仕掛けたのに、そうはならず、「あれ?」って思うことありますよね。
怒ると思ってやったのに、「あれ? 怒ってこない」。そうしたら、「どうしたんだろう?」って、相手の表情を見ますよね。そして、泣いているのを見て驚いたり。または、「あれ? 怒ってこない」と思って表情を見て、「わ! 怒りを通り越してる・・・ヤバいぞ・・・」とか。一緒に走っているつもりが、相手がついて来ていなくて、「あれ?」って。止まっている相手を見て、「どうしたんだろう」って。
「あれ? どうしたんだろう?」の後は、相手を見る。相手を見て、行動の原因を理解しようとする。自然にそうなるはずなのに、そういう経験が減っているんじゃないのかなって思います。さっきの少年も。
まあ、バス待ちの間にゲームをしていなかったので、それは現代っ子にしては珍しいかなと思いましたが、右手はケガをしていたようなので、それでかもしれないし・・・。なんて、ひねくれて見てしまう私です。
でも、本当に、「あれ?」の後に対象をよく見る経験が減っているとは思うので・・・私たち大人もですけどね、もっと相手を見ようと思いました。
偶然ですが・・・今朝、ちょっと思ったことがありました。
それは、何かを判断する時に、もっと子供の表情を見てほしいということです。
私自身も、日々、コーチングの中で難しいと思っていることですが・・・。
一人の表情を見れば全体を捉えられなくなることもあり、
でも、一人の表情から全体の空気を捉えられることもあり、
一人の表情を大切にできない人は全体をつかむことはできないと思うし、
でも、一人を大切にするために全体を見失っては何のための全体なのか・・・
ああ、難しい。でも、やっぱり、一人の表情が基本だよなって、
表情が基本だよなって、
朝、何度も確認したのでした。そんな日に、犬と少年を見たので、必要以上に考えすぎちゃったかな?
ところで、犬と少年の一件を、違う側面から見て・・・。
少年は、一応、その犬を動かそうと一生懸命だったんですね。自分でも方法を色々と考えて。ただ、いくらやっても、犬には通用しなかったんです。
だって、人形ですから・・・。
そう、相手のことを正しく理解しなければ、いくら働きかけても全く効果がありません。それどころか、逆効果になることもあります。
あの子だって、ガラスはあったけど、顔をくっつけてもっとよく見れば、きっと人形だってわかったはずですよ。
コーチングも、他の働きかけも全く同じですよね。
また、よく見ても、本物を知らない場合には、やはり逆効果になりかねない働きかけをしてしまうこともあるでしょう。今回も、もしかしたら、あの子は本物の犬をあまり見たことがなかったのかもしれません。もし、本物を知らなければ、よく見ても、本物との違いに気がつかないでしょう。そういう場合も、本来必要な働きかけをできないこともあるでしょう。
私たちの場合、見るべき本物とは、そのままの子供。だから、そういう意味でも、ソラの子は財産、宝。
昨日、私は1・2年生の子のゲームを担当しましたが・・・もう、なに、あれ!
ひよこ? すずめ? ピーチクパーチクあひるの子? かわいすぎですよ、本当に。すぐに口をとがらせて怒るし、飛び跳ねて怒る&喜ぶし、目が線になるぐらい笑うし・・・最高!
表情で伝える子供たちは、きっと普段、お家の中で表情を受け取ってもらう経験もしているのでしょうね。
ソラでも、表情は基本。大切にしていきたいと思います。
*****ところで*****
さっきの少年。犬が人形だとわかっているのに、「もしかしたら動くかな?」と思ってやっていたのなら・・・それはアリ! 子供の頃はそれぐらいの発想があって自然ですもんね。
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