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2005年12月

通信No.32おまけ「判断の早さ」

今回は、以前のお話(通信No.25)で「ここでは詳しく述べませんが」ということにしておいた内容についてです。
「サッカーでは、“判断の早さ”がよく問題となります。それを養うのは必要なことです。場合によってはフェイントに無理やりチャレンジさせることはそういった判断の早さを養うことを妨げるように言われますが、それは違うと私は思っています」という部分です。おわかりになっているかと思いますがソラ的にいきます。
さて、判断とはそもそも...、勉強すればかっこいい答えが出てきそうですが、子供達がプレーしている時を振り返っていく方が自然なイメージが浮かぶかと思いますので、ちょっと一緒に振りかえってみます? (やだと言われてももうこの時点では手遅れです。一緒に振り返って下さい。)
では、例を...A選手がボールを持ちました。その時、B選手(相手選手)がボールを取りに来て、A君はボールを奪われてしまいました。さて、またA選手がボールを持ちました。またB選手がボールを奪いに来ました。
この時、例えばA選手が、①B選手がそばに来る前にパスをしたとします。そうすればボールは奪われず、チームにとっては良いプレーになりますね。逆に②さっきと同じようにボールを持ち、また抜こうとしてボールを奪われると、チームはまたボールを失うことになり、チームとしてはマイナスのプレーにも見えますね。一見①の方が良いプレーにも思えますが、こういった表面的な部分だけに目を奪われてはいけません。そのプレーを選択した理由の方が大切です。
判断が早く(見え)、しかも結果が良いのも①ですが、仮にパスを選択した理由が「さっきボールを奪われたから」だとするとどうでしょう。あまりにもったいないプレーです。ボールを奪われた経験から得た選択肢が「奪われる前にパス」の一つだとすると、判断の早さという部分でも、選択肢がない、少ない(自分の中で他の選択肢を持たなかった)ので、選ぶ必要がなかった(選択が簡単だった)ということです。そこに本当に判断の早さはあるのでしょうか。
「ある」と言われれば、別に否定はしません。一応その前の(ボールを奪われた)経験から出した判断ということはできるかもしれませんので。
ただ、その場合でも判断は自分の経験したプレーから生まれています。つまり、様々なことを経験した方が選択の幅は広がるのです。その中から、最もその場に相応しいと思うことを見つける・考えるから、判断なのです。
そう考えると、様々な経験を生み出す可能性のあるプレー、選択の幅を広げる可能性のあるプレーは、やはり②だと思います。
もし抜こうとすれば、B選手を「ドリブルで抜く」や(パスを受けたときの)「最初のボールタッチで抜く」という2つの選択肢を持てる可能性があります。「パスをする」場合よりも選択肢を多く持てる可能性があります。ドリブルやボールタッチでの抜き方も色々ありますから、それらを含めるとさらに多くの選択肢を持つ可能性があります。(→もちろん、パスも様々なパターンがありますが。)
このように、一見、プレーの早さ的には①の方が勝っているようですが、②の方が判断の早さを養える、選択肢を増やすことができる、成長できるプレーだと私は考えています。
ただ、このような時にあまりに選手だけに判断を任せていると①のようなプレーが多くなってしまうこともたまにあるため、経験を広げ選択肢を増やす意味で(もちろん可能性を認識させるためにも)「ドリブル・フェイントを試せ」を強要する事も私の場合はあるのです。
そうはいっても、実際に子供たちの試合を見ていると、確かに①のようなプレーが多い方がプレー自体に早さを感じたり、判断の良い子が集まったチームに見えることもあるでしょう。―が、後でもできるプレーである(しかもその中の一つにすぎない)ということを考えると、それでいくら良いゴールや結果が生まれても、その判断の早さに感心するより、もったいなさの方が私の場合は先にきます。
自分でも抜けることを充分に知った上で「でも今はパスしよう」など、状況に応じてプレーできる。そんな選手になれる可能性は、無理矢理の経験をさせることもあった方が膨らむと思うのですが...。
通信No.25ではこの部分に深く触れませんでしたが、こういったことです。
ちなみに、初めから判断が良すぎると、失うことがたくさんあると思うので、そこまで判断が飛ばないようにも注意して見ています。(→これは「便利なものは後で」の考えですので改めて説明はしないでおきますね。)
一つの経験から、より多くの選択肢を吸収できる・持てるようになる方がすごいと思うので、しっかり吸収して次、しっかり吸収して次...ということを繰り返し成長していくことが望ましいと私は考えています。そして色んなものの詰まったプレーヤーになってくれたら、と思っています。

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