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2014年9月 7日 (日)

もうこのスクール、来たくない!

(2014年㋇通信「おまけ」より)
・・・なんて言葉を7月に言った子がいます。
それは、ある子にイヤな言い方をされたから。
半分泣きながら、「俺、もうこのスクールに来たくない」って、私に言ってきました。
私は、この子がある子にイヤな言い方をされた時の様子も目の前で見ていました。
ここから先は、うまく伝えられなかったらすみません。
少しでもわかりやすいように、イヤな言い方をされて「来たくない」と半泣きで言った子をA君、イヤな言い方をした側の子をB君と書きますね。
子供はまだ成長中。未熟で、デコボコがあって当たり前。
ですから、こうして二人のことをここで取り上げますが、それは、こうしたことが二人だけに見られることではなく、他の子にも当然見られることで、さらに、こうしたことが表面的に見えるままの「悪いこと」ということではないと理解してもらうためです。デコボコの子供たちが、こうしてちゃんと成長していけるんですよ、すごいでしょ? と実際にあったことからお伝えしたいからです。
さて、A君から出た言葉。その言葉を聞いた時、「A君がこのスクールに来たくないと言うなんて、B君、ひどいぞ。スクールとしてもこれは悲しいことだぞ」・・・って、私は思いませんでした。
どっちも大切な子です。
客観的に、この一時点だけの様子を切り取って見たら、いくらデコボコがあっていいとは言っても、「B君はひどい! 他の子を「ここに来たくない」なんて気持ちにさせるのだから」となるでしょう。
でも、B君の言葉に今回こういう反応をしたA君の練習中の様子は、確かに本人は頑張っているのでしょうが、声をもっと出すべき場面で声を出せないことや、ゲーム中でもボールを追えないこと・追わないことがあり、B君のようにいつもボールを追いかけ、自分がドリブルをしたい時でも周りの子のためにパスをしたり、味方がボールを取られたらそのボールを取り返すためにいつも走っている子からしたら、頑張っているようには見えないこともあるのだと思います。もちろん、だからといって、A君に対してイヤな言い方をしていいということにはなりませんが。
また、B君は、この日を含む数日、ちょっと口調や態度が他の人に対してきつくはなっていました。
(想像できる理由はありますが、そのことについてはここでは取り上げないで話を進めます。)
今回は、ちょうどB君がこのような感じになっているタイミングで、そして、A君もいつもの様子でその日の練習に取り組んでいたので(頑張ってはいるのですが、もっとできることもあるような感じ)、サッカーのとらえ方や普段のサッカー環境が全然違うこの二人がこういう状況になるのはそんなにおかしなことではありません。だから、驚きはしませんでした。もちろん、残念なことの部類には入りますが、でも、逆に、起こらなければならないことだとも、私は思っていましたので。
これは、「イヤな言葉を発してほしい」ということではありません。
子供として当然の範囲で、お互いが発するべき言葉、お互いが受け取るべき言葉があるなと思っていたのです。
高学年の子たちです。これから、協調性を養っていくべき年代でもあるので。
A君に対しては、周囲の子が協力して何かに取り組んでいる時、周囲の子の気持ちをより深く理解できるようになるために「それじゃダメだ」と誰かが言わなくてはいけなかったと思いますし、B君に対しては、「そんな言い方じゃ、イヤな気持ちになる人だっているぞ」と教えてくれる仲間が必要だったと思います。
こう思っていたので、私は二人の様子を見て、最初に書いたように思ったのです。
そして、この時は、A君からは話を聞き、「そうだな」と言い、「でも、他にお前のことを大事に思っているヤツもいるぞ」と言いました。A君がボールを触れない時など、A君のことを何度も応援してくれた子が実はたくさんいるんです。A君は応援してくれた友達の支えや努力に気づけないことがありましたが、それでも周りの子が助けてあげたことがたくさんありました。
ちょっと脱線しますね。周りの子がどれだけ自分を助けてくれたのかを(どれだけ自分のために努力したり、気持ちを抑えたりしてくれたのかを)しっかりとは理解できないこと、これはA君に限ったことではなく、他の子にもあることで、年齢的に、教えてあげなくてはまだわからないことなのでしょう。または年齢に関係なく、他の子の声や周囲の支えがあったことを自分だけでは思い出せないこともあるのでしょう。・・・そう、ですから、この時、A君に「他のヤツがお前を応援してくれたのを覚えてるだろう?」と言っても、真顔で「そんなことはない」と答えました・・・。さすがにこれは話をしなくてはならないと思い、もっと詳しく話しましたが。すると、「ああ」と思い出してくれ、さらに具体的に話すことができました。
話を戻し・・・そして、そういう仲間がいたことを思い出した後は、この空間に対する「来たくない」という気持ちは和らいだようでした。
この時はこんな感じでA君とはやりとりをし、B君のことにはあえて触れないでおきました。
ここに続けて来ることができれば、後でB君の良さをわかることができる、自然に関係を修復できるチャンスは絶対にあると思っていたので(結構、自信アリなんです。ソラの子、すごいので)、この時はB君のことを話すのはやめておきました。B君はさっき書いたように、タイミング的に周囲の子に対してちょっとキツイ様子を見せることもあったので、ここでB君の良さを話して理解させるのには無理があるかもしれません。
B君にも、この時点ではA君のことは話しませんでした。ただ、「この頃、お前、様子がおかしいぞ」ということだけ話しました。そこに気づけば、この子はきっと自分で戻ってきます。
ここで、A君とB君のことを少し書きますね。
A君は、さっきも書きましたが、周囲からは「もっとボールを追ってほしい」「もっと頑張ってほしい」と見えることもある子です。でも、本人は頑張っていますし、少しずつ、色んな面で成長を見せています。また、同じ学校の友達はほとんどいないので、この場所に知り合いが多くいる子に比べたら、練習に参加しにくい時もあると思います。それでもちゃんと練習に来ているのですから、これだけでも、「頑張っている」と言ってよいかもしれません。表には出にくい部分での挑戦や努力がきっとあるのでしょうね。
ただ、この子はもうU-12クラスでは年下の子を助ける役割もありながら、まだそれができないこともあります。どちらかと言うと、まだ助けてもらうことの方が多いです。
・・・と書くと悪いことのようですが、助けてもらえるのには、それなりの理由がちゃんとあるのでしょう・・・例えば、少しの成功を無邪気に喜べるとか。
そして、B君。
この子はよくボールを追いかける子です。活発。言葉もたくさん発します。大人の前だからといって言動を変えるようなことはしないので、私にもたくさん怒られたり、誉められたり、実に忙しい子です。
たまに動きが減ることや周囲への言葉がこの空間に必要のない内容であることもありますが、それは、
少し早い内容のことを覚えたり、覚えたことを(どの場にも当てはまる)良いことだと思って実践したりしている時に見られるので、素直さの表れでもあるのでしょう。また、口調がきつくなる時は、(周囲の子
の気持ちを考えられずにそうなってしまうこともあるので)注意をすると、口をへの字にしながら(私に「負けないぞ」と)こちらをにらんだりもします。にらみたくなる気持ちもわかるのでここではOK(ふさわしい注意はします)ですが、この子の場合、口調がきつくなるのは、「みんなでやろう」という協調性が強く働いていることもありまして。ですから、他の子を助けることもできますし、意識して、年下の子を助けようともするんですよ。
あ、ここでもう一人、C君を登場させますね。この子もA君、B君とちょっと関わりがあるんです。
C君は4年生。この二人の年下。
この子はサッカーを「超好き」というわけではないようです。それでもいいのです。また、ここに知っている子がたくさんいるわけではありません。でも、少しずつ成長してきた子です。なかなか頑張っています。が、それでもやっぱり、(A君を見て思うことがあるように)「きっともっと頑張れるぞ」と思える時もあります。
ですから、4月から、さらに知らない子が増え、年上の子ばかり、練習時間も延び、内容もU-9よりも難しくなるU-12クラスに上がり、気をつけて様子を見る必要がありました。
このC君が練習を楽しむためには、新しいクラスにずっといる年上の子のあり方がとても影響しますが・・・。さて、C君、クラスが変わりドキドキしながら参加した4月の練習をどのように感じたのでしょうか。
もちろん私も気をつけて見ますし、必要なフォローはしますが、私は最も大きなプラスの効果を出すために、年上の子にある程度役割を持たせることにしました。
そして、C君と似た雰囲気もあるA君に、4年生を助けてあげることを促しました。助けるべき存在ができた時にしっかりできる、成長できることってあるじゃないですか。そこで、A君に働きかけを。
でも、ちょっと難しかったみたいです。私はA君に数週間働きかけてみましたが、年下の4年生の子に声をかけてあげたり、意識して年下の子にパスをしてあげたりすることはできませんでした。
しかし、5年生全体に対しては年下の子を助けることが大事なことも話していたので、よく話を聞いている子や年下の子の存在を意識してくれている子の中には、そうしたことに挑戦してくれる子もいます。
そして、4月最初の練習中に、B君がそうした声掛け、接し方をC君にしてくれました。あたり前のように、自分の色んなことを我慢して、結構忍耐強く。
実はC君は練習に来る前は不安もあったそうです。しかし、そんなC君が次の週の練習をすぐに楽しみにするほど、練習を楽しいと感じたそうです。それは、「年上の子が優しかったから」「声をかけてくれたから」ということが理由だったそうです。
話を聞く限り、また実際に様子を見る限り、C君がそう思ったのはB君のおかげだと言っていいでしょう。
(他の子に対しても、違う子たちが声をかけてくれたり、助けてあげたりしていました。)
こんなことが4月にはあったのです。
そして、C君は今も楽しそうに練習に参加して頑張っています。もちろん、成長を少しずつ続けています。
4月、U-12クラスの練習に不安のあったC君を助けてあげたB君。
そのB君が、先月、ここで少しずつ成長しているA君に「ここに来たくない」と言わせた。
このA君は、自分と同じ状況になってもおかしくないC君を応援したり助けたりすることはできなかった。
B君は自分の力を生かして不安のあった子を嬉しい気持ちにさせることはできたけど、違う子にはまった
く逆の影響を与えた。
そして、何とも言えない距離でA君とB君をつないだC君。
C君がいなければ、B君の良さは見えにくいものになっていたかもしれません。助けてもらいながら、実
はB君を助けているC君。
でも、まだ助けてもらう立場であることにはかわりなく・・・。
お互いにデコボコ。
でも、それぞれが何とも言えない関係で関わっているから、成長を続けることができる。すごい・・・。
8月、このA君とB君を同じチームにした時、お互いに相手に対して持っていた印象を変えさせることができました。二人を呼び、双方に話しながら、その日にお互いが出していた良いところ、直すべきところを理解させることができました。
そして、二人がほどよくお互いを認め、くっついたので、この時に、7月のことを話しました。二人いるところで、B君には「実はな、Aはな、Bのことをこんな風に言って、“ここに来たくない”って言ってたんだぞ」とか、A君には「Bはな、こういうこともしていただろう? 本当はこんなにいいヤツなんだぞ」という話をしました。
お互いに「え、そんなことがあったの?」「そんな風に思っていたの?」という驚いた顔と、苦笑い。そして、お互いに良い気持ちのままで、その後も二人は良いプレーを続けましたよ。
そして、私が面白いと思うのが、この二人と接点があったC君。
もしB君がC君に声をかけてもC君が頑張らなければ、(C君を助けることができなかった)A君にB君の良さを話しても説得力が減ってしまったのではないかと思います。でも、C君がB君の声に応えて頑張ってくれたおかげで、今回、B君の持つ様々な良さを自然に話すことができました。
この、超熱血というわけではないけど、自分の持っているサッカーへの興味にちょうどいい大きさでは頑張っているC君の様子。いいですねぇ。
本当に、面白い関係。じゃんけんぽん・・・とはちょっと違うか・・・。お互いに凸凹だけど、そこをつなぐ存在があり、受け取るべきことを少しずつ受け取って、吸収して、成長していく。なんか、すごいなって、やっぱり思いますね、子供たち。
ソラの場って、本当に不思議です。
今回は数名の子のことを取り上げましたが、こういう子たちでソラは溢れています。また、あまり上手に表現できなかったかもしれませんが、それぞれの子の力はほんと、面白いし、すごいですよ。いいところたくさん。未熟な部分も当然あり。でも、だからいい。それでいい。
色んな子がいるからこそ生まれる素敵な効果に、ただただ驚くばかりです。
では、二学期もよろしくお願いします!
※今回取り上げた子のことで、もし少しでもマイナスに捉えられるような部分があったとすれば、それはすみません、私の文章力のなさが問題です。ちゃんと彼らのことを書くことができればそんな風に捉えられることはないはずなので、もし、マイナス部分を感じた方がいらっしゃいましたら、それは誤解です、ということでご理解下さい。
・・・と書きながら、はい、皆さんご存知の通り、私、グラウンドでは怒りまくっていますが・・・
子供に負けずデコボコだらけなもので、すみません・・・。

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サッカー経験の長い子からサッカーを初めてする子まで、今、スクールの無料体験に来る子が増えていま~す♪

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