経験の浅い子の見本+経験ある子の見つめ、他
(2013年10月通信145おまけより)
子供たち全体に色々と注意をした後で、練習の見本をできる子を尋ねた時のこと。
勇気を出して手を挙げた子が数人いました。注意された後だし、緊張感のある中、普段よりもやりにくいはずで、「どうしよう・・・」という時間が流れた上で手を挙げた子たち。それぞれの子がすごいと思います。
みんなすごいのですが、その中に一人、サッカー経験の浅い子がいました。見本を上手にできるか、本人も不安だったようです。まだ技術を覚えだしたところ。手を挙げるのは勇気がいることだったと思います。「失敗してもいい?」と聞かれ、もちろん、「いい」と答えました。その時の空間上の色々な理由から「失敗したらダメ」と言うこともありますが、ソラでは、普通の場合は(私の子供に対する言葉には関係なく)失敗していいのです。
見本は重要です。だから、「大事なもの」が伝わればいいのです。それが見本の大きな役目。
ここで、「“失敗してもいいよ”と言われれば誰でもできるよ」とは思いませんよね。だって、周りには自分より上手な子がたくさんいるんですもん。普段の練習から、それを本人も理解しているはずです。そういう中で見本をすることはすごく勇気がいることです。しかも、注意された後の空気の中で。
手を挙げなかった子の中には、サッカーがとても上手な子もいたし、いつもはうるさいぐらいの子もいたし、いつも積極的に練習している子もいました。そういう子が手を挙げることができなかったことを悪いとは思いません。そういう子たちには、より成長していくために、逆にこういう部分も大切なのです。こうして、まだ上手でもなく、いつも積極的というわけでもなく、静かに練習している子でも、勇気があること、責任感があること、頑張れるということ・・・「すごいところがある」ということを、知ることができればいいのです。この子より優れた技術や積極性を持つ子も、サッカーの知識がある子も、こうした子の、このような勇気、行動を見ることができれば、そして、それを自分はできなかったと素直に思うことができれば、「こいつ、すごいじゃん」とか「がんばってるな」と思うことができるでしょう。サッカーの技術、経験、知識という面だけで比べることなく、多くの大事なものを吸収していけます。
こうした見本をこの子はやり、そして、周りの子はちゃんとそれを見ていました。
もう、ここには書ききれないくらい、この見本の子は頑張ったと思いますし、大きな役割を果たしてくれたと思います。もちろん、他に手を挙げて見本をしてくれた子も。
そして、手を挙げず、その見本を見ていた子たちも。勇気のない子のように映りますが、いいえ。
普段から、友達の色々な面を認める子がたくさんいます。ちょっと間違ったことをしたって声をかけてくれる子、上手になんてできなくたって当たり前のように一緒にプレーをする子、一回イヤなことを言ったって次の瞬間には嬉しいことを当たり前のように言ってくれる子、そういう子がたくさんいます。だから、こうして、「できないかもしれないけどやってみよう」と思えたということもあるのだと私は思います。普段から、この、手を挙げた子が、サッカーの練習を楽しそうにしている、難しそうな練習でもなんとか頑張ってやっている様子を見ていますが、それは、いつも接している周囲の子の力も大きく関係していると思います。
つまり、相乗効果です。
こうしたことが起きるので、ソラではみんながすごく伸びているんです。自分よりも技術の高い子と練習をした方が上手になるという一般的な考えや、厳しい環境の中で練習をする方が強くなるという一般的な考えがありますが、そんな一般常識を超える子供の常識を、ここでは子供が見せています。
こういうことを学ぶ子供たちのゲームは、本当にすごいゲームをしますよ。すごく伸びる動きを。
具体的には、動きのタイミングや声かけのタイミングが早くなったり、動きの速さ自体が上がったり、判断の幅が広がる・速くなるなど色々な面で判断力が上がったり。
但し、逆に、技術面や戦術面の向上ばかりが重視されるサッカーをすることが多くなると、こうした子供のサッカーの良さから多くのものを得る「吸収力」にブロックがかかることがあります。本人は気づかずに、プレーのイメージを狭めてしまうことがあります。とても残念なことなのですが、実際にこういうことは起こります。
同様に、精神面や気持ちの部分があまりにも子供たちから離れた範囲で強調されすぎる中でも、精神的な成長を生まないことがあります。精神的に強くなると思えるようなことでも真の強さにつながらないこと、厳しい練習や競争に耐える精神的な強さがあってもそれが真の精神的な強さにつながらないことなど。
私も精神的な部分、気持ちの面での強さの求め方には特に気をつけています。とても難しい部分ですから、求めるべき以上のことは求めないし、しかし、求めるべき範囲(理解すべき範囲)のことは強く求めます。
技術・戦術面の向上も、精神的な成長も、子供に合ったものでないものを求めると間違ったものやふさわしくないものを身につけます。求めるバランスが狂うと、(表面上はわかりにくいこともありますが)とても偏った成長になります。ここでは、そういうもったいない結果を生む技術・戦術面の向上、精神面での向上は起こさせないようにしたいと考えています。
そのかわり、多くのものを結果的に得る技術面・戦術面の成長をしっかりさせたいと思っていますし、精神的な面においても、技術・戦術の奥にある芯の部分を学べる成長をしっかりとさせたいと考えています。
この日の子供たちは、こうして、「子供」として関わり合いながら大きく成長していくということをよく表していたと思います。嬉しいことですね。
■嬉しいついでに・・・
よく、夏休みや冬休みなど、休みの期間しかここに来ることができない子がソラの練習に参加した後、練習をずっと見学されていた保護者の方が驚いて言ってくれることがあります。「ここの子たちって、他の子の失敗を責めたり、誰かのせいにしたりしないですよね」と。
厳密にはちょうどいい文句は出ることはあります。しかし、不適当なものが出ることはほとんどありません。
最初からずっとそうだったわけではありませんが、そういうものが出た時には子供たちに話をしてきました。起きていることを理解させるために、双方の子、周囲の子に説明をしてきました。時間のかかることもありましたが、子供たちは自分たちに理解できる範囲で学び、今ではこうして、外から来た方が明らかに他の場との違いとして認識するほどまでの良さを、当たり前のように出しながらプレーしています。やるね、ソラッ子、です。
仲があまり良くない相手には言いたいことを言えないことがありますが、そういう関係だから言えない、言わないということではありません。ソラの子は結構みんな、色んな面でくっついています。だから、ちょうどいい範囲の文句、子供のサッカーであれば感じる思いは言葉として表しています(もちろん、注意すべき範囲に入ったものはしっかりと注意します)。ここの子が、他の場から来た多くの方に感じてもらえる良さを持っていることはとても嬉しいことです。他の場にこことは違うサッカーが溢れているということの裏返しでもありますが、だからこそ、ここで子供たちが見せる良さ、身につけていく力は大切にしたいと思いますし、ここでのサッカーを理解して下さる皆さんを大切にしたいと思います。
ソラの子は、こうしてすごくたくさんの力を持っていますし、多くのものを身につけています。
「まったくもうー!」と言いたくなることもあるでしょうが、皆さんのお子さん・・・たくさんの方からすごく誉められていますよ! もちろん、プレーを正しく判断できる方からは、スキル面でも褒められるプレーをしています。
良かったですね。
■見えないものを見る力・・・
子どもが書く手紙。下書きをたくさんした跡、消しゴムで消した跡がありますよね。下書きをした跡のないものもありますが、そういうものでも、他の紙に下書きをしたかもしれないし、薄く下書きしてキレイに消したのかもしれないし。子供はこうした跡を残してくれることも、残してくれないこともありますが、こういう見えないものを見る力って、大切だと思います。そういうものを見ることができる大人、コーチになりたいと思います。
■素の行動・・・ある会場にて
スピーカーから出る音声。大きい! 「不思議、面白い」・・・音声がそこから出ている間、そっとスピーカーの方に近づく子がいました。ニコニコしながら。面白そうなら近づく、探る、追いかける。何とも子供らしい行動。
ボールも、蹴ること・触ることが楽しいと思えば、子供は自然に追いかけます。
では、どうやって面白いと思わせるのか。その思わせ方、持って行き方、感じさせ方が重要で、難しいといえば難しい。単純といえば単純なのですが、単純、簡単なものほど、芯をつかめないと難しくなるのです。
=連絡先= サッカースクール・ソラ TEL 042-534-3766
四街道、佐倉、八千代、船橋など、市外からの参加も多数!
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