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2012年12月 9日 (日)

グー

(2012年11月 通信No.133より)
ある日のUー9クラス。
ある練習メニューで、「自分の番が終わったら、ボールを手で持って帰る」という約束をしました。その練習メニューは、グループでの得点を競う練習で、「ボールを手で持って帰る際に、もしもボールを落としてしまったら、そのグループは0点からやり直し」という条件も加えました。
子供たちには、「みんなで得点を数えておくように」と注意して、スタート。
グループによっては、話を聞いていなかったり、聞いていてもいつものクセから、うっかりボールを下についてしまったりする子もいて、0点に戻ってしまうことも。しかし、時間がたつにつれ、子供たちの動きはより活発になり、落とさないようにもなりました。なかなかいい感じの競争です。
こういう時はあまり注意をしたくないので、このままみんな、自然に頑張りなよ、と思って見ていたら、ある子が、手を握りしめた形でボールを持って戻っているんです。ジャンケンの「グー」。しかもニコニコで!
うん、GOOD・・・じゃない、じゃない・・・両手をグーにしているので(お前はドラえもんか)、ボールが落ちそうなんですもん。
そうやって持つのが楽しくてやっているのかな? こういう気持ちはわかります。 それとも、ちょっとおふざけのつもりかな? でも、その子は自分の番の時には一生懸命ドリブルしているし、それまでにやった他の練習メニューも一生懸命やっていたし。うーん・・・どういうつもりだろう。
・・・落ちたらそのグループは0点になっちゃいますからね。もしかしたら、説明(落ちたら0点になる)を聞いていなかったのかな? うーん・・・ちょっと行動としては不自然なので、そばに行き、様子をもう少し詳しく見てみると、ボソボソと何か言いながら、「グー」でボールを持っています。もう少しそばに行って耳をすますと・・・得点を言いながら戻ってきています。なるほど、指を折って点を数えていたんですね。念のため本人に確認をすると、そういうことで・・・あはははは。
さて、理由はわかりました。ですが、このままでは、そのうち落としそうです。ここは優しく教えましょう・・・とならないところが逆に私の優しいところ(本当はただのいじわるコーチ)。私は「グー」をやめるようには言わず、そのまま様子を見ることにしました。
グループのみんなで得点を数えていれば、この子がこうして手で数える必要はないはずです。それをしていないから、この子がこうして得点を数えているのです。それなのに、もし、ボールが落ちた時に周りの子が何か文句のようなことを言ったなら、理由を説明し、自分たちが数えなかったからだということを話そうと思いました。また、失敗しちゃう子とか、ふざけているように見える子が、実は一生懸命なこともあるのだということをみんなに説明することもできます。子供たちはお互いに色んなことを言いますから、こういう誤解がたくさんあるのだということも、話してあげる必要があるので。
それに、言われる側の、この「グーの子」にも話は必要ですし。みんなで数えなきゃいけないことをわかっていたのに、それをやらないみんなに「数えよう」と言わないで、自分だけでやろうとしていたから落とすことになるので、みんなに言う必要があることもあるんだよ、と。それぞれが自分にできることをして、後で、みんなでその力・成果を持ち寄るというのもいいですけどね。ただ、みんなに言う必要があることもあるよ、ということはこういう本人の体験を通じて話したいですし。今、本人が本当に経験することって少しずつ減っているとも思うので、ソラの子供たちには、小さなことでも大事にしてほしいんです。
・・・そして、様子を見ていたのですが、まあ、器用なこと・・・落とさない。
結局、そのまま何事もなくその練習メニューは終わり、先ほどのような話をする必要はなかったのですが、一応、ほんのちょっとだけ、「みんなのすること」として、話をしておきました。
面白いですよね、子供って。「落としちゃダメ」という練習の時にそういう持ち方をしちゃうんですから。大人なら、そんな持ち方をしないだろうし、まず周りの人に声をかけたりすると思うのですが、そうじゃなくて。
しかし・・・こういう子供の素の行動には、年齢による様々なことに対する理解の仕方や体・心の成長など、子供の発達段階を示すヒントがいっぱいあるんですよね。
一人でやろうとしたことも、落ちそうなのに楽しそうだったことも、落ちた後にどんなことになるのかということに気づいていなさそうなことも、「ああ、なるほどな」がたくさん。
おまけに、こういうことが色んなところにあって・・・もう、「なんでそんなことするの→なるほど」だらけです。
それぞれの発達段階で見せる、こういう自然な行動は、大人の私たちから見たら、「なんで?」という不自然さもありますが、素の状態、自分たちの発達段階に合っていないことをまだ「知らない状態」で見せる子供の心と体の動きは、何とも魅力的でもありますね。

=書籍のご案内=
タイトル 「サッカー、上達の素」 使えないワザには気をつけろ!  
内容 ・・・ 使えないワザ紹介、プレーの改善方法紹介、
大切な要素解説、 自主トレ時の工夫例紹介、他 ・・・
¥1400です。

◆お申し込み受付中!
◆書店の店頭には並びません。ご注文はソラまでお願いいたします。
お渡しは6月下旬を予定しています。
◆お支払い・・・ご注文受付後、代金のお支払いに関するご案内をお送りいたします。
一般の方からのご注文の場合、払い込みの際の手数料をご負担頂きます(価格をかなり抑えているため、ご理解いただきますようお願いいたします)。
◆ご郵送をご希望の場合は別途送料を頂きます。
1冊なら210円。2冊なら290円。3冊以上はこちらで負担します。

内容について補足を・・・
なんと、昨年の春空で大好評だった「使えないワザ」も入っています。
なぜかと言うと、「使えないワザ」には、大切なことがたくさん詰まっているからです。
本には、一般的なサッカー環境などから考えても伝えておいた方がよいと思うことを書きました。また、ソラを卒業した子が中学生、高校生になってから連絡や相談をくれることがあるので、そうした内容も踏まえ、大切だと思うことを書いています。
内容的には、小学生高学年、中学生年代(+高校生くらいまで)をイメージして作りましたが、サッカーの情報・知識のとびかい方を見ていると、低学年の子の親御さんにも(子供が小さいうちに)読んでおいてもらえると安心です。
高学年以上であれば、子供が読んで、わかる部分も多いでしょう。
小学生から高校生の各年代の子供、親御さんが読んで、それぞれに合ったものを吸収できるように考えました。同じ文章でも年代や経験により、イメージの仕方が違い、それぞれの年代で大切な要素が伝わるのではないかと思います。
★一般の方からもご注文いただけます。
★サッカーをする子、サッカーをする子を持つ親御さん、チームで指導をするコーチの方などにオススメです。


=sola=
サッカースクール・ソラ。千葉市で開校中。四街道、佐倉などからも子供が通っています。
■問い合せ TEL 042-534-3766
■ソラ・HP(PC)→ http://www.sonoyosade.com
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