子供が育つ「あたり前」の範囲
(2012年5月 通信No.127おまけより)
※今回のおまけは4年前に書いたものです。いつも色んなことが起きるので・・・書きたいことが次から次へと出てくるため、こうしてパソコンで眠るおまけが結構います・・・。ちなみに、今回載せるものは、前回のものと似ている部分があるので、「またか」と思うかもしれませんが・・・みんな、少しずつ成長してきたということがよくわかると思いますので載せますね。
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U-9クラス、4月の火曜日。
ゲームをしていると、1年生の子の足にボールが当たり、しゃがみこんでしまいました。当たったのはそんなに強いボールではなく、他の子もそういうことはたくさんあるので、友達がちょっとしゃがんだくらいではプレーは止まりません。それに、このしゃがんでいる子が相手からボールを奪おうとする時には友達の足を蹴ってしまうこともよくあるのですが、そういう時でも友達はそれを気にせずにボールを追い続けているので・・・。
みんな、自分もそれぐらいは乗り越えてきたこともあるし、ゲーム中なので、目も心もボールの行方が気になるのです。
こういう、[足が当たった・当たらない]は、蹴った側・当てた側の子が気づかないことがよくあります。
もちろんケガをしそうな場合は注意しますが、ボールを奪い合う時は、少しは足が当たるのが普通で、それを少し蹴られたからといってプレーを止めていたら、子供たちもつまらないんです。
もし、その「ちょっとの接触」をみんながやらないようにプレーしたら、おしとやかでキレイかもしれませんが・・・子供たちには逆効果です。
足がちょっとぶつかる経験を重ねると、(大けがをさせる前に)相手を蹴ったことを自分で感じられるようになったり(ちゃんと謝れるようにもなったり)、足を出すタイミングや力加減を覚えていったり、さらに、足を出される側もとっさに相手の足を避ける身のこなしを覚えていくことができます。
体の発達的には、このような素早い身のこなしは小さい時ほどよく身につくものなので、中学生や高校生の段階になってから身につけようとすると、かなり大変です。ですから、小さなうちにそういうプレーを経験できることは良いことだと私は思います。
さて、話を戻して・・・
この子がしゃがみこんでいる状態でもプレーが続いています。危ない状況ではなく、他の子がこの子に対してどうするかを見たいので、ちょっと様子を見ていました。
しゃがんでいる子は泣いているようですが、まだ様子を見ます。
すると、ある子がこの子の様子(ずっとしゃがみこんでいる)に気づきました。
気づいて、様子を見て、「どうしよう、声をかけようかな」「みんな気づかないかな?」という感じです。少し困っている様子もわかります。そして、「コーチ、どうしよう」と、こっちを見るぞという瞬間に私は全然関係ない方に顔を向けました。『どうする?君しか気づいてないよ』・・・意地悪ですが、この、しゃがんでいる子を助けようとしている子のことも、私は助けませんでした。
助けようとしている子はおとなしい子です。コーチも見ていないし、周りの子は気づかずに走り回っているし・・・さて、この子はどうするのかな。
すると、困りながらも、しゃがんでいる子に声をかけました。
自分はボールを追いたい、でも、この子が泣いている。コーチに言いたい、でも、コーチはこっちを見ていない。どうしよう・・・、かわいそう、どうしよう・・・。そんな感じで、困っていましたが、ちゃんと声をかけました。ですが、声をかけてもすぐにはしゃがんでいる子が動かないので、その後も、「どうしよう」という顔で、ボールとその子を交互に見ていました。
すると、他の子も、気づきはじめ、声をかけたり、近寄ったりする子が増えてきました。でも、プレーを全員が一度に止めるという状況にはなりません。
みんな、「しゃがんでいる子のことが気になるけど、ボールを蹴りたい」「気になるけど、これぐらいなら大丈夫だろう」という感じです。
私はこれでいいと思います。
友達のことが気になるし、かわいそう。でも、大丈夫そうでもある。声をかけ、助けようとしても、なかなか復活しない。「困ったな、もう一回声をかけよう。でもダメだ。もう僕はボールを追うよ」。
冷たいようですが、これで私はいいと思います。
しゃがんでいるこの子に足をさっき蹴られた子も、声をかけてあげています。「俺はお前に蹴られた時に頑張って続けたのだから、お前だって頑張れよ」でもいいと思います。もちろん、友達が元気になるまで、ずっと応援してあげるのもいいことだと思います。
助け方は一人一人違っていいと思います。性格によって、色んな行動があっていいと思います。
この時、子供たちには、気づいてあげて、助けることも、(助けられる側が)自分で頑張ることも、両方とも大切だと言いました。助けてもらっている子は、友達が自分のことを考えてくれているのだから、応えなきゃ、頑張らなきゃね。
子供たちの、こういう助ける範囲、自分で頑張らせる範囲はとても適当なことが多いです。
適当だからこそ、頑張れる子が多くなるということも、実際に見てきて感じています。
子供たちの持つ、こういう大きさを大切にしたいと思っています。
ちなみにこの日、その後にも、その子にボールが当たった時がありました。
さっきと同じように、ちょっとしゃがみこみました。
すると、さっき気づいた子が、またすぐに気づきました。そして、私になんて頼らずに、自分から、「大丈夫?」を表す行動をすぐにとっていました。しゃがみこんだ子は、すぐに立ってボールを追いました。
両方の子が頑張るから遊べる。
あたり前ですけど、大切なこと、大切な経験ですよね。
こういう場を大切にしていきたいと思います。
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内容について補足を・・・
なんと、昨年の春空で大好評だった「使えないワザ」も入っています。
なぜかと言うと、「使えないワザ」には、大切なことがたくさん詰まっているからです。
本には、一般的なサッカー環境などから考えても伝えておいた方がよいと思うことを書きました。また、ソラを卒業した子が中学生、高校生になってから連絡や相談をくれることがあるので、そうした内容も踏まえ、大切だと思うことを書いています。
内容的には、小学生高学年、中学生年代(+高校生くらいまで)をイメージして作りましたが、サッカーの情報・知識のとびかい方を見ていると、低学年の子の親御さんにも(子供が小さいうちに)読んでおいてもらえると安心です。
高学年以上であれば、子供が読んで、わかる部分も多いでしょう。
小学生から高校生の各年代の子供、親御さんが読んで、それぞれに合ったものを吸収できるように考えました。同じ文章でも年代や経験により、イメージの仕方が違い、それぞれの年代で大切な要素が伝わるのではないかと思います。
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★サッカーをする子、サッカーをする子を持つ親御さん、チームで指導をするコーチの方などにオススメです。
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