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2012年3月 7日 (水)

背景

(2012年3月通信No.123おまけより)

表面上は同じ行動でも、その行動が生まれる背景や理由、経緯が全く異なることや、逆に、表面上は違う行動でも、それらがまったく同じことがあります。
ですから、ソラでは、「表面上は同じ行動」でも、子供たちが注意される時と褒められる時があります。
矛盾しているようですが、背景・理由、それまでの経緯などを考えると、そうなることがあるのです。
それらを考えないで、褒めたり、注意したりする方が、矛盾がないように思えますが、実際には、そのような働きかけでは、逆に(真の部分では)矛盾することがあったり、真に迫れないことがあるので、背景や理由、経緯を大切にしています。
もちろん、こういうことを考えた上で、より真に迫っていくまでの過程として、あえて、「表面上の行為」を取り上げて、[褒める・注意をする]ということもありますし、そこにいる子を育てるために、他の理由から、背景・理由などに関係なく、線を引いて注意をする事もありますが。
このように、背景や理由、経緯などは、コーチングを行う上でとても大切な要素ですが、それらによって、表面に出る行動、現象はあまりにも様々なので、それらを踏まえてのコーチングは、面白いと思うと同時に、非常に難しいとも感じています。
・・・ある行動が生まれる背景や理由が色々あるということについては、皆さんもよくご存知だと思いますので、ここでは、コーチの立場で、私が昔、サッカーの分野で「えっ?」と感じたことをお話しします。
コーチになってから3年くらいたった頃、名選手のインタビューを聞いていて、驚いたことがありました。
だって、その選手は、「自分が名選手になれたのは、素質・才能のおかげだ」なんて言うんですもん! 
子供にサッカーを教える時に、「努力が大事だよ」と言うことの多かった私には、「えー?!」でした。
あとで、子供たちに、「あの名選手も“努力が大事”って言っていたぞ」という話をしようと思っていたのに。
そのインタビューを見た直後は、「まったくもう~」・・・なんて思っていたのですが・・・その選手はそんなことを言いそうにないんですよね(それまで、他の場での受け答えとかを色々見ているじゃないですか、そういう様子からは、そんなことを言いそうにないんですよね)。
だから、私が、彼の言うことを正しく理解できていないんだろうなと思いました。
そして、同じようなことを他の選手も言っていることがあるのを見て・・・「ははーん」と思ったのです。
彼らはみんな、普段の言動(といってもテレビや雑誌を通しての印象ですが)を見ると、謙虚なんです。
そこで、次のように考えました。
例えば、「努力」というものが、「すごく大変なこと」だと思っていたら、自分が、そういう大変なことをして名選手になったなんて、言いにくいこともあるのではないかな? と。
だから、「自分は大変なことをしたわけではない」「本当は、自分よりも他の人の方がすごいんだよ」と言うために、「素質・才能でここまできた」と言うこともあるのではないかな、と思いました。
そして、それとは逆に、「素質・才能はなかったけれど、努力でここまで来た」という人は、「自分には、素質・才能があったから」というと、なんか自分が“特別”なようになってしまうから、「自分は“特別”ではないんだよ、みんなと一緒だよ」「他の人の方がすごいんだよ」と言いたくて、「努力によってここまできた」と言うのかもしれないと(もちろん、生まれ育った国の文化などが影響している部分もあるでしょうが)。
・・・真逆の言い方ですが、真の名選手は他の選手の良さをちゃんと理解し、他の選手の良さを認めているのだということなのだと思います、きっと。
背景を考えれば真意を捉えることができても、背景を考えなければ真意を捉えられないこともあるのだなと、強く感じた出来事でした(実際には、私には、名選手の考えは正確にはわかりませんので、推測が正しくないかもしれませんが、先程のように考えることがあってもおかしくはないと思います)。
そして、場所が変わり、時間もたち、今、ソラの子たちを見ていますが・・・
ソラの子は、みんな、色んな行動を取ります。それが良さであり、今、彼らがすべきことでもありますから、これでいいんです。ただ、まだ、大人が必要な年代でもあります。
ですから、あとは、私たちが彼らの行動を正しく理解できるかどうか、です。
そのためにも、背景、理由、経緯をしっかり考えられるようになりたいと思っています。そして、より正しく彼らを見ていきたいと常に考えています・・・が・・・これが本当に難しく、いまだに見誤ることが・・・。
ですが、子供たちの成長がかかっているので、できる限り、背景を考えながら、子供たちの真の部分を見ていきたいと思います。

******この「見誤り」を少しでも減らすためにも、手を向け、目を向けているのですが・・・それでも難しい部分があることも十分承知しているので、背景、経緯をより深く理解することで、見誤ることを少しでも減らそうと、よく「些細なことでも連絡を下さい」というご案内をさせて頂いています。
ですから、本当に、何かあったら連絡を頂けると助かります。
子供たちを正しく見ることができないということは、コーチとして、とてもつらいことなのです。

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