オウンゴールから・・・①
(2011年8月夏空通信「おまけ」より)
U-9クラスのあるゲームで、相手のシュートを防ごうと必死に走った子がいました。
何とかボールに触れたものの、残念ながら、ボールはそのままゴールに入ってしまいました。
その瞬間、「オウンゴールだ」という声。
その声で、オウンゴールをしてしまった子の表情が一瞬硬くなりました。
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この後、「オウンゴール」という言葉を使い文章を続けますが、この時に「オウンゴール」をしてしまった「子」が悪いわけでもないですし、「オウンゴールだ」と言ってしまった「子」が悪いということでもありません。
これは子供を「かばう」とかではなく、本当にそういうことなのです。両者、悪くありません。ぜひそのように認識して頂いた上で、続きをお読み頂きますよう、お願いいたします。
ちなみに、「オウンゴール」とは、例えば、相手のシュートをはね返そうとしてボールを蹴り返したら、ボールが自分のゴールに入ってしまうなど、「自分の守るべきゴールにボールを入れてしまうこと」です。
調べれば他に正確な説明があるかもしれませんが、どうでもいいことなので、わざわざ調べません。
ここでは話をする上でオウンゴールと言う言葉を使った方がスムーズなので解説しただけですから。
「どうでもいいこと」と書くと、オウンゴールで嫌な思いをしたことがある方には失礼かもしれませんが、努力している者の足にボールが当たり、たまたまボールがそのコースに行っただけのことで、シュートを打った相手に運が転がっただけのことです。「たまたま」が重なっただけで、シュートを打った相手(称賛される選手)と等しいプレーをしたということなので、本来は大きな責任を感じる必要などないことですから。本人が自分で相応しい大きさで反省をすることは止めませんが、外野がどうのこうの言うことでは本来ないのです。
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さて、話を戻して・・・先程の場面では、そのまますぐにプレーを続けましたが、おそらく、オウンゴールをした後に、ゲームをいったん止め、「今のはオウンゴールだ」とはっきり言ったり、周りの子が必要以上に取り上げたりしたなら、その子は泣いていたと思います。こういう時、「悔しかったら頑張れ」ということがその子にとって良いような場合もあるかもしれませんが、「失敗を大きく反省し、涙をこらえ悔しがって走る」なんてことをさせる前に、本能でボールを追いかけてしまう、ボールを触りたくて無心で追いかけてしまう感覚を十分に覚えさせたいと私は思っています。
年代的に、精神面で受け止めるべき内容としても、また、そこから得るべき身体面での発達から考えても、「チームに損害を与える大きな失敗」として認識させ、「悔しかったらもっと早く走れ、もっと頑張れ」という形で克服させるのではなく、自然にボールを追いかけることを繰り返す中で、素早さを磨いたり、間に合いそうにない状況でも走ってみようという気持ちを覚えたりしていくべき時なのだと思っています。もちろん、段階により、「悔しかったらやってみろ」も大切ですし、私もそう言うことがありますが、一般的に考えれば、この年代は「楽しくてボールを追いかける」が一番大切なのです。
それに、子供たちは「失敗したらどうしよう」という気持ちが大きくなってしまう可能性もある年代です。
もちろん、失敗を恐れない強さを身につけることも大切ですが、オウンゴールをしてしまった時に、失点の原因が全てその子の責任になるような雰囲気、失点はものすごい失敗なのだという雰囲気の中でサッカーをしている(させられている)場合は、必要以上の大きさで失敗を受け取らされることがあります。
そのような中では、失点時に、そこに関わっていなかった子は「関わらなくて良かった」と思うようになり、また、関わってしまった子は「ボールを追わなければ良かった」と思うようになることもあるのです。その気持ちがもっと強くなれば、失敗しそうなことには関わろうとしないようになり、「プレーしたい」と思うことよりも「失敗は嫌だ」という気持ちが強くなっていきます。
子供の試合では失敗しそうな場面はどこにでもあります。しかも、挑戦すればするほど。
そういうサッカーの中で、このように(不自然なほどに)失敗を恐れていたらどうなるか・・・。
ただ無心にボールを追えば、サッカーを楽しめるはずなのに。
・・・初めの頃はサッカーが好きでたくさんボールを追いかけていた子が、試合をするごとに動けなくなっていくことがよくあります。とても変な現象です。不自然です。
少なくとも夏空の間はそんなサッカーをさせたくはありません。「失敗全然OK」の「動きたいから動いちゃう」サッカーをたくさんさせたいと思います。私は甘いコーチではないので、これは「甘さ」ではありません。子供のサッカーの本質です。
四街道、佐倉、八千代、船橋など、市外からの参加も多数!
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