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2011年2月21日 (月)

一回の練習に詰まっているもの

(2011年2月 通信No.107より)
前回、ある曜日の「6年生のすごさ」と「子供たちの言い合い」についてお話ししましたが・・・他の曜日でも、一回の練習の中で、6年生の姿勢で「おお!」、5年生同士の関係で「おお!」と思うことがありました。
どんなことがあったかというと・・・
まずは、ある週の金曜日の様子から。
ゲーム中、6年生の子が5年生の子に当たり、5年生の子は転倒(反則とまではいかない当たりの強さです。
実はこの2人、ゲーム前の、1対1の練習(1人対1人で対決する練習)で熱く戦っていました。6年生の子は5年生の子にちょっと強めに当たり、5年生の子も「負けるもんか」と踏ん張るので、汚いことも反則などもしていませんが、互いにムキになる、熱い戦いになっていました。この6年生の子はサッカーが好きなので、ムキになるのです。感情も出るのです。私は、こういうプレーは好きです。好きなことでムキになるのは良いことですから。
そんな感じでやり合った後の、ゲームでの強い当たり。反則でなくても、転倒した5年生にはちょっとキツイでしょう。
しかし、ムキになってプレーしていた6年生の子が、相手を倒した瞬間、とっさに「あっ、ごめん!」と言ったのです。それまでの対決では、強く当たっても、倒しても、謝っていなかったのに。
そう、これで、いいのです。・・・好きなことだから負けたくない。相手が対抗するのだから、ガツンとも行く。ただ好きだからムキになるのだ、負けたくないのだ。だけど、汚いことやずるいことをしたいんじゃない。だから、相手が傷ついたと思った瞬間にはとっさに「ごめん」と出てしまう。「そこまでやったつもりはなかったのに」という表情になる・・・。
転倒した5年生の子は痛そうでしたし、それまでの経緯もあったので、この子には、一応、私の方からも、その6年生の子のサッカーへの気持ちを説明しておきました。
その時、とっさに6年生が謝ったのは、5年生の子のことが憎いからではないこと、6年生がバチンと当たるのは、5年生の子も一人前と認められているからだということを。ただ、そんな説明はしても、理解できるかは微妙でしたが。また、6年生の子にも、ちょっとだけ、当たりの強さについて触れておきました。
そして、他の場面では、5年生同士の関係で・・・
ある5年生の子が他の5年生の子のミスに対し、「しっかり!」と言いました。この子はチームを盛り上げようとずっと声をかけていたのですが、しっかりやっても起こるミスはあるので、そう言われると「ぬ! (怒)」となることもあります。
ちなみに、こういうことは、今回は言われる側になった子も、別の時には自分が友達に言ってしまうこともありますし、この子たちだけでなく、ほとんどの子が言ってしまうことがあります。時には、大人の口調で大人の言葉を使っているのを見ることもあります。言った側は、普段、自分がチームなどで聞いている言葉だから自然に使ってしまうのでしょうが、そういう言葉の中には、こういう、もうちょっと見る側に、見る力が必要な言葉もあります。子供の時は当然、的確に見ることができないこともあるはずなので、雰囲気で言ってしまうこともあるかもしれませんが・・・。
さて・・・「しっかり!」と言われた子は、とても頑張ってプレーしていましたし、やはりムッとしたようで、何やら文句を言っているように見えました。相手に聞こえているかはわかりませんが、顔を見ると、かなりムッとしています。
この子はここのところ、色々と子供のサッカーの感覚、プレーの感覚を覚えてきていて、上達している部分もあるので、「しっかり」と言われ、以前なら何とも思わなかったり、自分がただ悪いと思っていたりしたようなことでも、「違う」と思うことが出てきたのでしょう。努力により自分の上達を実感し、自信を得たことの表れでもありますから、ムッとしてもいいでしょう。ただ、これまでに、周りから「こうしよう」と言われ、言われたプレーをすることで心地よい思いをすることや自信を得てきた部分もあるので、自信は持っても、そういう、人の言葉を受け取る良さは持っていてほしいと思います。・・・ムッとすると、相手の言うことが正しいかもしれないと思っていても、「絶対に言うことは聞かねー!」なんてこともありますからね。まあ、こういうのも、成長過程ではかわいいですけどね。
この2人、その後もちょっとギクシャク。
この日の練習後は、みんなに、「最近は色んなことを言わないでおく子が多いが、言うのが普通。だから、みんな色々言っていい。その中で、互いにいろんなことを感じてほしい」というような話をしました。そして、「そういうことをしていれば、嫌な気持ちで帰る日もあるだろうけど、いつも“楽しかった”で帰るのではなく、“今日はつまらなかった”という日があってもいいと思う。大人になったら、そういう時でも、きっと良かったと思うようになる」、なんて話もしました。・・・私はそう思ってスクールをやっています。3日間の短期ものには短期もので潜れる深さがあり、短期もので戻れる深さがあります。それ以上潜ろうとすると、戻れなくなることもあるので、突っ込める深さも3日間を考慮した深さになります。ですが、通常のスクールは年間を通じて活動しています。年間での成長が目標。ですから、もっと深く突っ込むし、より高く跳ばせます。
その日、その2人の5年生は、なんとなく自分たちのことを言われたと思ったかとは思いますが、2人ともやはり不機嫌な感じ(?)、気まずい感じ(?)で、帰っていきました。消化不良で帰る、こういう週も、必要なのです。

そして、翌週がきたのですが・・・
まず一つ目の驚きポイントは、先ほどの話の、転倒した5年生と6年生の関係。
2対2の練習時、また熱いバトルを開始。性格が似ているのかな? そして、バチン!  5年生の子、転倒。
・・・ですが、すぐに立ち上がりました。一瞬、横顔が見えたのですが、気のせいかもしれませんが、立ち上がった瞬間、ちょっとだけ、「ニッ」と笑ったように見えました。見間違いかもしれないですけど、本当に一瞬、そう見えました。
…お…!!!! …あれ? デジャブ? 今、続きの文章を書こうとしたら、前にも同じようなことがあったのを思い出したんですけど、「そういえばこんなことが前にもありました」って書こうとしたら、そんな文をここでこうして書いたことがあるような気が・・・。似たようなことを保護者の方、個人の方へお伝えしたり、通信で実際にすでに出していたり、パソコンに入力していたり・・・こんな感じなので、もしかしたら、同じような話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが・・・お許しを。
一緒に「デジャブ?」ということで許して下さい。…話を戻しますね…。
そう、「ニッ」と笑ったように見えた後、すぐにプレーを続け、その対戦が終わると、また自分の列(待機する列)に戻ったのですが、かなり痛そう。しかし、気持ち的には復活している様子。
(笑っていなかったとしても)復活するのがとても早くなったのは確かです。
以前なら、こういう時、こんなにすぐに、普通にプレーするような気持ちには戻れなかったのに、すごい成長です。
そして、6年生の子も、「今の(自分の)当たり、反則になるぐらい強かった?」と顔を少し赤くしながら、何度も私に聞いてきました。試合では、場合によっては反則にとられることもあるかもしれませんが、「絶対に反則」という強さではありません。説明を聞き、6年生の子は、自分の正当性は理解したようではありましたが、前の週に当たった時よりも、相手のことを気にしているようでした。
そして、その後の4~6年生、みんな混ざってのゲーム。
その6年生の子と5年生の子を同じチームにしました。
3チームあり、1チームが休憩することになるので、この2人のいるチームを最初に休憩にしました。
休憩にして間もなく、コート外に目をやると、この2人が楽しそうに話していました。
6年生の子は、チームも学校も違う年下の子に対して、普段はそんなに自分から声をかけるタイプではありません。
ですが、この時は、きっと自分から声をかけています。カンですがまず当たっていると思います。引っ張るように、身振り手振りを大きくし、ちょっと顔を赤くしながら、たまに言葉が途切れそうになりながら、たくさん話していました。
また、後でも少し触れますが、この6年生の子は先ほども書いたように、サッカーが好きで熱くなり、年下の子に対しても同学年の子に対して言う時のように言ってしまうことがあるので、年下の子に対する話し方については少し前にちょっと話したことがありました。
そんな子が、年下の子に一生懸命に話しています。ちょっと努力をして話しているのも、表情を見ればわかります。
こういう努力はサッカーに対する努力と同じように、大切です。
さてさて、ある程度時間がたって、この6年生の子がコート内に入ってきました。まだこの子のチームは休憩中なので、他の子はコート外で休憩しています。すると、その5年生の子が、この6年生の子に続いてすぐに入ってきました。そして、6年生の横に立って、自分たちの番を待っていました。ちょっと言葉では表現できないですね、この時の様子は。“子鳥”にも見えるし、背伸びをしようとしている“子ライオン”にも見える(・・・ね、わからないでしょ?)
こういう、バチンと当たった後で生まれる信頼、互いの努力の上にできる信頼はいいですよね、強い。
その後のゲームでも、とても信頼しあい、プレーしているのがわかりました。
5・6年生ですけどね、こういう時の子供は、すごくかっこ良く見えますよ。
・・・ 終わり ・・・ じゃないんです ・・・
次に、険悪な感じのあった5年生同士の関係。
ゲームで同じチームになったのですが、先週、言った側になってしまった子は、“盛り上げるために言葉を発する”この子の良さはそのままで、先週、言われた側になってしまった子は、色々と身につけてきたサッカーの感覚を生かし、また、“周囲の声に素直に反応する”良さもそのままで・・・2人で何度も自然にコンビプレーをしていました。
しかも、コンビプレーは息が合っても技術的に難しい場面もあり、失敗することがあるのですが、失敗した場面では互いに「あ、ごめん!」と。だから、気持ちが崩れることがなく、何度も、積極的にコンビプレーに挑戦していました。
よろしいんじゃないでしょうか、良さを生かしたままで、しっかりと成長して。
かなり以前にも書きましたが、「そら、空へ、その良さで」の“その良さで”は、逃げとかの言葉に使っているのではなく、成長するための、挑戦するための(大きく言うと、「生きていくため」の)言葉として私は使っていますので、こうして、自分と相手の、互いの成長につなげられるのが理想ですから。
立派に力と心を使ったね、5年生の子も。
・・・・・締めくくりに、再度、先ほどの6年生の子に登場してもらいましょう。
この日のウォームアップ段階であった、ある4年生とこの6年生のことをちょっと。
ボールを投げる役と、それを蹴り返す役の2グループに分かれ、“投げる~蹴り返す”ということを色んな相手と繰り返していく練習で、この6年生の子が、ボールを投げた4年生の子に、「ちゃんと投げろよ」と言いました。子供なのでよくあることです。
その後の様子を見ていると、(タイミング的にそうなっただけかもしれませんが)この6年生の子は、他のボールを投げる子のところにばかり行き、その4年生の子のところには行きません。その4年生の子も、他の子が来る時はリラックスしているのですが、この6年生の子が近づくと、ちょっと緊張した表情に。
結局、この練習内で、再びこの4年生の子がこの6年生の子にボールを投げることはありませんでした。
その後、みんなには、「6年生は、4年生にはまだわからないことを知っていることもある。例えば、4年生同士では、ゲームで友達がふざけながらプレーしていても許せることがあるかもしれないが、6年生ではそれを許せないこともある。そういう風に、4年生ではまだわからないことがあることもある。練習の時にキツく言われることもあるかもしれないが、それは、そういう理由だ」ということと、「4年生の子は、5・6年生の子にボールを投げる時にうまく投げれないことがあるかもしれない。その時に、5・6年生が文句を言うのではなく、そのボールをうまく処理して返すことができたら、4年生の子は、5・6年生のことを“すごいな”って思うだろう。技術はそうやって使え」というようなことを話しました(年上の子が“バチン”と言うことも大切ですが)。
その後、ワザの練習時、「違う学年と組め」と言うと、この6年生と4年生の子が同じグループになりました。
この時は、私もここに入れてもらいました。「えー、やだ!」と露骨に言われましたが。・・・あ、そうそう、他のグループの子まで、「コーチと一緒じゃ、かわいそう」と言っていましたが、何か? 
ということで、一緒にやりましたさ、もちろん。
・・・で、やっぱり6年生の子はここでも努力していまして。詳しくは書きませんけどね(←私も、皆さんが読む文の量を抑えるように努力しているんですよ~)。
・・・こんなこともあってか、この6年生の子は、年下の子への言葉のかけ方にも変化が見られました。
ゲーム中の一言、二言の言葉。
ですが、その言い方は、自分の気持ちを表現するだけでなく、相手にちゃんと伝えようとし、相手の力を出させようとすることが十分に伝わってくる言い方。
これまで、こういう部分でこの子は困ってしまうことや、自分のプレーにも悪影響が出てしまい、またそれで自分に腹を立て、苦しむこともあったので、ゲーム中の、たった一言、二言の言葉ですが、その言葉に含まれるこの子の努力、自分で改善しようという気持ちはすごく大きいと私は感じました。
あ、そうです。先ほどの転倒した5年生の子だけでなく、この4年生の子も、この6年生の子と同じチームにしています、この日は。こういう時、いつも同じチームにするわけではありません。別のチームにした方が良いこともあります。どちらにするかは、子供たちの間で起こったことや、互いの関係性、他の子との関係などにもよるのです。
あー・・・良かった。たった一回の練習で、卒業前に大きく大きく成長したこと、成長する力をつけたことを証明してくれました。さすが6年生ですね。
もうすぐ卒業する彼らも、他の学年の子も、未熟で失敗するのはいいのです。成長していけば、いいのです。
だから、子供の未熟さは、すごいのです。魅力的なのです。

・・・これらが一回の練習に詰まっていること。他にも、ここには取り上げないことや、私の気づかないことがたくさんあります。ちなみにちなみにちなみに・・・この原稿(?)を書き終えた後も、前通信のおまけに登場した「言い合い」をした2人が、すっごく自然に会話をしてゲームを待っている姿を見れたりして・・・・・・・もう、ホント、おもしろい! 

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