おまけを続けるわけ・・・
(2010年9月 通信No.101より)
ということで、もう始まっております。今回は「おまけ」だけです。
なぜなら、今回はかなり長くなるので! (「ガーン」という声が聞こえてきそう・・・。)
でも、いったん書きあげた後、これでもできる限り短くし、また、できる限り冷静な文章に直しましたので・・・子供やサッカーのことで、気になること・心配なことがある方は、長くて大変ですが、読んで頂けたら嬉しく思います。そういったものがない方は、読まなくても本当に「問題なし」ですので。
今回は、No.101ということで再スタート的な意味も込め、「おまけ」のコーナーを続けてきた理由を三つだけお話ししたいと思いま・・・したが、一つはカットして、二つだけ。
一つめの理由は、文章を書くのが好きだから(カッコイイ!)・・・えぇ、ウソです。文章書くの嫌いです(文鳥飼うのは好きですけど・・・実際に飼ってるのは犬ですけど)。
ただでさえ長いのに余計な文を書いてしまいました。すみません。「調子に乗るな」という声が聞こえてきそうですが、今からは、一切調子に乗った発言などしませんのでお許しを。それから、「おまけ」を読む子もいるようですが、今回は読んではいけません。・・・では・・・始めます。
一つめの理由は、子供の行動を、より理解して頂く手助けになるのではないかと考えたからです。
お母さん方から「男の子ってわからない!」という言葉を聞くことや、お父さん方から「俺の子供の頃と違う!」という言葉を聞くこともよくあり・・・。
ソラは、魅力ある子で溢れていますので、色んな子の、色んな様子をお伝えすることで、お役に立てればと思いまして。
・・・私も子供の頃は頭に牛乳ビンを乗せて歩き、見事に割って先生に怒られたり(なんで落ちるかなぁ)、花びらを水に入れ、色水を作った授業では、その水を飲んだり(普通、飲むでしょ?)・・・
こんな子だったので、少しはわかりやすくお伝えできるかと思いまして。ちなみに、牛乳ビンを頭に乗せて歩いたのは、落ちることなど考えていなかったからで、花の色水を飲んだのは、おいしそうだったから。両方とも小1の頃ですけど(良い子はマネしてはいけません!)
小さい頃は、「こうしたら、こうなる」というような考え方をできないことが多いのです。あ・・・これは、自己弁護しているわけではないですよ~。
当然、廊下や教室の後ろに立たされることもよくありました。ま、将来、サッカーコーチになることを見越し、足腰を鍛えるためにわざと立たされていたんですけどね。子供ってすごいでしょ!
・・・こんな風に、「男の子・子供」は、よくわからないことをするのです。怒りたくなりますよね~。
スクールでこういうことを子供がしたら、もちろん私は怒りますよ(自分のことは棚にあげるさ!)
だって、危ないですもん。・・・まだ、「こうしたら、こうなる」がわからない段階なら、「こうしたら、こうなるからダメなのだよ」ではなく、「コラ、テメー、危ないだろうが!」っと怒ります。もちろん、理由を説明することもありますけどね。段階、状況、性格、内容などにもよるのです。
子供たちはこんなことをしかねず、さらに、「親」というものは、自分の子には愛情の深さのため、つい厳しくなるもので。それに、長い間一緒にいると、良い部分が目につきにくくなることもありますし(親ではない私でもコーチをしていてそうなってしまうのですから、親御さんなら、当然ですよね)。
そこで、スクール中に子供が見せた短所に見えるようなものでも大きな長所に転換できるものがあることや、親としての感情が強く入ると気づきにくい色んな良さを、(冷静に見ることができる)ご自分の子以外の子の様子を知ることで再確認して頂き、安心してもらえればと考えたのでした。
・・・って、偉そうですね、すみません。
二つめは・・・数年前、子供たちの試合を見て、「これは大変だ」と思ったからです。
「スポーツの世界だけじゃないですけど、やっぱり、スポーツの世界は、成果が見てはっきりわかるので、正直、私の方が辛く、楽しめません・・・。週末の試合などは若干ストレスに感じ、六年生まで続くのか? と親の方が弱気です」・・・これは、ある方からお聞きした言葉です。
この方は子供のことをよく理解されていますが、子供のことをよく理解している、理解しようとしている方でも、このように感じる環境なんですよね。
子供の頃は運動能力がとても発達するので確かに大切な時期です。
ですが、プロ選手になった人の話でも、子供の頃は「“サッカーが好き”というより、“そこにいる友達と遊ぶのが楽しいから”練習に行っていた」という話をたくさん聞くように、まず、「子供のスタンスで楽しむ」のが大前提の時期なのです。
私たちは、プロ選手になるような人たちは小さな頃から“超”熱血だったか、“超”英才教育を受けていたのだろうと思いがちですが(そういう人もいるかもしれませんが)、「友達がいるから行く」という自然な気持ちでサッカーを楽しむ子でも、楽しむことができるのが本来の子供のサッカーで、また、そういうスタンスでも成長していくのが子供なのだということでしょう。
それに、サッカーをする子のゴールはプロ選手になることだけではありません。
選手になった後のことを考えても、選手にならなかった場合のことを考えてもきっとおわかり頂けると思いますが、サッカーを通じてどれだけのものを得られるか(人間的な成長)ということが大切です。
それなのに、まるで小さな頃から優秀な戦績を得なければならないかのように、小さな頃の戦績がとても大きな意味を持つかのように、目の前の勝利が捉えられているように試合会場で感じました。
このような環境では、試合結果が子供たちの成長の全てのように受け取られても不思議ではないですし、サッカー経験のない親御さんは、子供のプレーの良し悪しを理解することが難しいでしょう。
また、このような環境が、「試合で負けることや試合に出れないこと = 子供のプレーが良くない」「コーチに怒鳴られる = 子供のプレーが間違っている」という「誤解」も生んでいるようでした。
さらに、そのような「誤解」から、親御さんが子供のプレーを正しく見ることができず、子供を必要以上に責めてしまうということもあるようでした。
例えば、自分の子が失敗をした(ように見えた)時に、「自分の子のために」必要以上に責めてしまうことや、その失敗が原因でチームメイトに迷惑をかける形になった時に、「他の子に対する責任感」から、失敗した我が子を必要以上に責めてしまうなど・・・この年代で、一生懸命プレーした子がチームメイトに迷惑をかける失敗なんて、まずないと私は思いますが。
試合中にコーチに怒鳴られる子供を見れば、そうなってしまっても仕方ないかもしれませんが、(もちろん、注意されるべきプレーもあるかと思いますが)私が見る限り、コーチに怒鳴られ、「子供が失敗した」と見える場面でも、全然失敗ではないことがよくあります。
「失敗した」と見えることの中には、見る側が正しく見れていないこともあるのです。
「見る」ということは難しいことなので、それは仕方のないことでもあるのですが・・・。
プロの試合をテレビで見ていても、そういうことがあるのではないでしょうか。
例えば、「最後のパスが上手くいけばきっと得点になる」という場面で、プロ選手がとんでもない方向にボールを蹴ってしまうのを見たことがあるかと思います。
「なんで、そんな簡単なキックをミスするんだよ」と思うかもしれません。
ですが、それは、その瞬間に画面に映っていたものしか見ていないからです。
テレビ画面に映っていない時に、その選手がどれだけ激しく動いているのか、激しい動きをどれだけ繰り返しているのか。相手のプレッシャーがどれぐらいかかっているのか、そのプレッシャーの中、プレーが成功するタイミングや狙えるコースがどれぐらい限られているのか。
こういったことは、画面に映った映像からではなかなかわかりません。
また、よりその時の状況を正しく理解し、より高い精度でプレーをしようとすると、ミスした時にはかえって(適当にプレーした場合よりも)大きなミスになることがあります。
こういうこともテレビを見ているだけではわからないので、「なんでそんなミスをするんだ」と思うこともあるでしょう。
このように、失敗かどうかを判断するには、見る側の「見るところ・タイミング」もとても大切なのです。
子供の試合も同じで、しかも、子供の場合はプレーや動きの生まれる要素が、大人的に考えると難しいものがとても多いので、見ている側が見誤ってしまうことも多くあるのです。
ですから、実際に、コーチに注意され、失敗のように見えるプレーでも、実は全く失敗などではないものが多くあるのです。
このようなことを考えれば、「自分の子のため」でも「他の子への責任感から」でも、失敗したように見える子を責める必要などないはずなのですが・・・・、責めたくなってしまう環境なのでしょう。
ちなみに、必要以上に責められると、たいていの場合、子供は消極的になります。
消極的になると良いプレーができないのは言うまでもありません。消極的になり、失敗し、注意され、また消極的になり・・・悪循環が生まれます。
しかも、「誤解」から責められた場合は、「原因がない」或いは「原因を誤っている」ことが多いので、頑張って積極的に解決しようとしても、思うように解決策を見つけられず、また「失敗」(に見えるだけのこと)を繰り返してしまうこともあります。こうなると、どんどん深みにはまり、やはり、子供も保護者の方も悪循環に陥ってしまうことがあります。これは何とか防ぎたいところですが・・・・。
さて、ここでちょっとだけ、話を戻させて頂いて、なぜ、自分の子を責めてしまうのか・・・。
ちょっと生意気になってきた子でも、親としては、かわいくて仕方ないものです。そして、かわいい我が子には可哀そうな思いなどさせたくないというのが親心。
ですから、試合の時に子供が怒鳴られたり、試合に出れないでいれば、怒鳴られないですむように、試合に出られるように、つい、子供に注意をしてしまうのですよね。
また、自分の子に対してそれぐらい大切に思っているから、そういう大切な子、友達にも迷惑をかけたら可哀そうだと思い、友達に迷惑をかけたように見える時も、自分の子を責めてしまうのでしょう。
子供を思うがために、責めてしまう。それも、「誤解」から。すごく悔しいことです。
責めながら、責めている本人も辛い思いをしているでしょうから。
そして、子供も辛いでしょうから。
こんなの、おかしくありませんか? しかも、もともとは「誤解」から生じているのに。
ですから、「おまけ」で子供の行動やプレーに隠されたものを話し、子供のプレーや心理をより理解して頂くことで、このような様々な「誤解」を解こうと思ったのです。
そして、「誤解」を生む原因となっている「環境」を変えられたらと思ったんです。
ところで・・・普通なら文句を言ってしまいたくなるくらい、子供がコーチに怒鳴られているような場合でも、親御さんが、コーチに対して文句を言っているのを聞いたことがありません。プレーのことで相談を頂く際も、コーチに対する批判は聞きません。
それは、「自分がサッカーをやったことがなく、サッカーのことをよくわからないから」という理由だけではないようです。話を聞く限り、それは、「コーチの方はボランティアで、自分の時間を割いてコーチをしてくれているのだ」ということを十分に理解されているからです。
子供の環境がこれでいいのだろうかと疑問に思うことがあっても、「コーチは大変な中、一生懸命にやってくれているのだから」と、そのような疑問や自分の気持ちを抑えて、コーチの言うことを理解しよう、コーチを批判しないようにしようと、そう自分に言い聞かせているように感じることもあります。
このような、様々な葛藤の中、保護者の方が子供のプレーを見ている、プレーするよりつらい気持ちで応援していることがあるということを、コーチの方は知っているのだろうか。もし知っていたなら、少しは環境が変わるのではないだろうか・・・そう思うこともあります。
ボランティアでコーチ・・・素晴らしいじゃないですか。なかなかできないことです。
ですから、保護者の皆さんも最大の敬意を払っているのでしょう。
ですが、一生懸命になるあまり、またはサッカーの経験がなく、どのような指導をしてよいかわからないために、もし、子供を追い込むような指導になっているのなら、それは残念なことです。
それでは、「子供のため」という元の理想とずれてしまうし、育成年代のコーチの最大の喜びを得ることができないでしょうから。
それに、ボランティアで指導することと、子供を傷つけることとは全く別の問題です。
おそらく、このような環境の中、傷ついている子はたくさんいます。
見るところ、見るタイミングが良ければ、子供の頑張りをわかってあげられたはずなのに、そこがずれていたから、本来は「がんばったな!」というところが、「あれ、なんだよ」になってしまうこともあります。これに限らず、肯定されるべき部分が肯定されず、否定されることもあるでしょう。
こういう時に傷ついたりするのは、果たして子供のせいなのでしょうか?
子供が弱いから?
子供が甘いから?
親が甘いから?
― いえ、どれもきっと違うと思います。
コーチの方にも多くの葛藤があるでしょう。とても大変だと思います。
ですが、一生懸命になるあまり、子供に相応しくない要求をしてしまうことや、つい、対戦相手に対するプライドを優先してしまうことがあるのではないかと思います。そのため、見るべきところ、見るべきタイミングが少しずれてしまうことがあるのではないかと思います。
一生懸命さから、このように言葉で子供を傷つけてしまうことがあるかもしれないと思います。
「言葉は心を折ることもある」・・・これも、ある方から聞いた言葉です。他にも、同じことをおっしゃる方、心配される方がいらっしゃいますが、本当にその通りだと思います。
大人で、どんなに体が頑強な人でも、どんなに精神的に強く、物事に動じない人でも、人からの言葉で心が折れてしまうことや、人からの言葉に憤慨し、心を乱すことがあります。
それぐらい、言葉は心に影響を与えるのです。
ですから、私たち大人は、尚更、正しく使うことを意識しなければならないのですよね。
しかも、相手は子供。サッカーの技術ばかりでなく、心を育てている真っ最中の子供。
どんなに優れた道具であっても、どんなに一生懸命であっても、使い方や方向性が正しくなければ、効果はまったく逆になります。
ボランティアでコーチをする・・・繰り返しますが、人のために一生懸命になれるなんてすごいです。
暑い中、寒い中、朝早くから・・・本当に大変でしょう。試合の時などは、自チームの監督・コーチだけでなく、審判などもやらなければならず、大変でしょう。
私もスクールとチームの両方で指導をした経験がありますので、多少は大変さがわかるつもりです。
きっと、皆さん、大変なことだとはわかっていても、子供の喜ぶ顔が見たくて始めたのでしょう。
そして、子供の喜ぶ顔を見るのが嬉しくて続けているのでしょう。
もしかしたら、本当はやりたくないけれども、他にやれる人がいないからやっているのだという人もいるかもしれませんが、そういう方も、「子供のため」だからと、我慢し、頑張っているのでしょう。
本当にすごいことですよね。
ですから、尚更、そんなすごいことができるのであれば、子供の笑顔、親御さんの笑顔、ご自分の笑顔が増えるような方向に持っていけたらと思うのです。
そうなったなら、どんなに素晴らしいだろうかと思うのです。
幸い、ソラの保護者の方の中には、チームでの指導に携わっている方もいます。
通信で子供のプレーについて取り上げれば、保護者の方とコーチの方に同じ情報を伝えることができます。そうすれば、もしかしたら、子供のプレーに対する「誤解」を双方に理解してもらえ、環境を変えることができるかもしれません。
子供を囲む、保護者の方とコーチの方が「子供を伸ばそう」という共通理解の元、同じ方向を向き子供に接することができたなら、そこにいる子供たちは安心して積極的にプレーすることができます。当然、そのような環境の中では、子供たちは上達・成長していきます。
子供は自分の上達を感じることで、ますますサッカーが楽しくなり、さらにサッカーボールを追いかけ、どんどん技術も向上していくでしょう。また、そんな子供の上達や成長する姿を見て、コーチの方も保護者の方も、きっと大きな喜びを感じるでしょう。
そして、子供たちの笑顔、親御さんたちの笑顔、コーチの方々の笑顔・・・、そこにいるみんなの笑顔が増えていくはずです。
せっかく、みんなでサッカーに携わっているのです。絶対にこの方がいいでしょう。
保護者の方、コーチ、子供・・・この三者の掛け合わせは、ものすごい好循環を生み出します。
もちろん、それぞれが悔しい思いをすることもあるでしょうが、必要以上に落ち込みエネルギーを失うこともないでしょうし、仮に、エネルギーを失っても周囲が力を与えることができるでしょう。
微力であることはわかっていますが、ここに何かを書くことで、環境が変わるきっかけになればと、好循環を生む、その手助けを少しでもできればと、そんな風に思って、おまけは続けてきたのでした。
・・・ですが、力が足りず、未だ変わらぬ状況もあり・・・。もちろん、私が子供に関して書いていること、サッカーに関して書いていることが間違っている可能性もあります。でも、そのような場合でも、少なくとも環境を考えるきっかけにはなるでしょう。ですから、まだまだ、これからも、続けて行きます。
*このような環境でも、常に「子供の成長」を考えて指導されている方もたくさんいます。
ですが、このような環境では、「子供が伸びて行くこと」を第一に考えて指導をすることは、とても難しいことかもしれません。ですから、そのような方が指導しやすいようにするためにも、子供の時に大切なことや子供のサッカーのことを理解してくれる人を増やしたいという意味もありました。
*本当に残念なことですが、このような環境では子供がチームを辞めることがあるかもしれません。
先程、「心が折れる」という表現を使いましたが、「折れる」ぐらいなら、その前に「やめる」方が良いケースもあります(もちろん、折れないように、私も努力していきますが)。
自己防衛として、「辞める」ということもあるでしょう。
このような子の行動を、本人、周囲の人に少しでも正しく理解してもらえたらとも思いました。
「辞める」というと、マイナス的なイメージがありますが、このような環境だと認識していれば、決して、「逃げる」とか「弱い」というようなマイナス的なことではないということも理解できると思いますから。そうなれば、チームを辞める子が、自分のことを「逃げた奴」「弱い奴」と評価することなく、これからも前に進んで行けるでしょうし、周囲の人もそのように見ることができるでしょうから。
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