妙な声かけ
(通信 No.18より)
みんな色々な思いでこのスクールに来てくれています。
今年卒業する子は、もう何ヶ月も前から「俺、中学に行ってもたまにここに来る」と言ってくれていました。そんなことを言ってもらえると、正直とても嬉しいです。そして、もうすぐ卒業という、先週の練習日。
彼がスクールにやってきました。しかし、残念ながら体の具合で練習はできないとのこと。その子は、見学に来てくれたのでした。外なので見学を長時間しているとかなり寒くなります。風邪をひいてはいけないので、途中で帰ることを何度も促しましたが、その子は帰らず、練習が終了するまで、ずっと見学をしていました。
スクール中、その子はコート内にイスを持ってきて、座りながら練習をそばで見ていました。練習する仲間を見ながら、ずっと声をかけていました。 ―と言っても「頑張れ!」とかいう正統な声かけではなく、外国人が日本語をしゃべるようなイントネーションで「オー、○○(友達の名前)、~~ガイイネェ」と大きな声で、みんなに声をかけていました。
その子にピッタリの見学方法ですが、練習している子供達は、その声が気になって笑ってしまう子もいました。
それにしてもずっと声をかけっぱなし、いや、しゃべりっぱなしです。練習中、自分の順番待ちの合間に、子供達が(怒ってはいないものの)、「気が散るよ~」と度々私に言ってきましたが、一緒に練習をできないのに見学に来た子の、スクールや友達を思う気持ちが何となくわかり、私は彼の声かけを止めはしませんでした。
その後、ストレッチ中にその子がなぜ寒い中、見学に来ているのか、スクールやみんなに会うことをどんな風に思っているのか、少しだけ子供達に伝えました。みんなも、普段のその子をよく見ていて、よく知っている子達です。
話を聞いている彼らの目、表情から、理解してくれたことがすぐにわかりました。
その後も、その独特の声かけは続きましたが、みんなが心地よい雰囲気で、“リラックスしているけど集中している、チャレンジできる”、そんな空間を作っていました。そして、その子は次の日も、やはり見学にきて、体こそ動かしませんでしたが、しっかりとスクールに参加していました。
子供達が、子供達同士で作る、こんな空間は最高です。彼らは、今までに何回もこんな空間を作ってきました。
6年生が卒業すると、このメンバーで、時間・空間を作る、共にすることもなくなります。
卒業する彼らは彼らで、新しい仲間と今後もきっと大切な時間・空間を作り、残った子は新しく加わる子と共に、また時間・空間を作っていくことでしょう。少し残念な気もしますが、今後、それぞれが作っていく時間・空間に、今まで彼らがこのメンバーで作ってきた時間・空間はきっと大切な役割を果たしてくれるでしょうから、発展という意味で、これから作られる新しい時間・空間を楽しみにすることにします。
みんなが来てくれるこのスクール、私も大好きです。これからもよろしくお願いいたします。
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