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2010年9月25日 (土)

チャレンジャー

(2008年12月 通信No.77より)

12月のU-9クラス。対決形式(1人対1人)の練習をしている時のこと。
ふざけているように見えるプレーがあったり、一生懸命なプレーがあったり・・・色んなプレーが出て、しかも、みんながバラバラでなく、程よく「負けたくない」気持ちが表れて、いい雰囲気でした。
それだけでも、「やるじゃん」と思えるのですが、さらに「ウォッ!」と思ったことがありました。
1対1での対決は、次のようなルールで行いました。
攻撃側がボールを持ち、ドリブルを開始して対決はスタート。攻撃側がシュートできるゴールは2つ(2つのどちらのゴールにシュートしてもOK)。もし、守備側が攻撃側からボールを奪ったら、その時点で攻守が逆転する(守備側だった子がシュートできる)というルールです。
この対決では、有利なのは、初めにボールを持って攻撃をできる、攻撃側の子(ゴールも2つあるし)。
…なので、もし、守備側の子が相手にシュートを打たせないで終れば、「勝った」という感じにもなります。
さて、練習。たくさんの良いプレーの中で、私が最も「ウォッ!」と思ったのは、ある子の守備時のプレー。
この子の守りがかなり良く、相手がシュートを打てず困っている場面 ― 攻撃側は、シュートを打ちやすい体勢にしたいのですが、そうすると、この守備の子にボールを奪われそうで、それができません。
一方、守備の子も、不用意にボールを取りに行ったら、相手の子はテクニックがあるので、シュートを決められてしまいそうです。ちょこちょこ動きながらも、均衡状態。
そこで、私が「あと10秒」(でこの対決は終り)と言うと・・・先に動いたのは、なんと、守っていた子の方。
そのままの体勢なら、たぶん、守り切れたはずなのですが、そんなことは考えていません。
ボールを取るために動きました。ここでボールを奪うことだけを考えたら、他にも動き方があるのですが、自分がボールを奪ってシュートを決めるとしたら、ここでの動き方は、その子のした動き方ぐらいです。
その動きをして奪えなければ、かなりのピンチに・・・というか、相手がシュートを決めてしまう可能性大なのですが、引き分け狙いでなく、勝ちに行くとしたら、この動き方ぐらいしか方法がありません。
どんな動きかと言うと・・・一言で言うと大人的には「そんな無茶な!」という動きです。
残り時間が短く、ただボールを取りたかったのか、それともこれぐらいのことを考えてやったのか、どちらかわかりませんが(子供の自由な発想は本当に色々なアイデアを生み出しますから、瞬間的にこれぐらいのことを考える、動くことは当然あり得ることです)、いずれにせよ、そのままなら引き分けの(守備側の子にとっては“勝ち”に等しい)状況から、ボールを取りに行ったところがかっこいいですよね。
こういう「損をするような動き」「負けるかもしれないけれど」ということを含んだ上での「ボールを触りたい」という動きができると、すごくサッカーも楽しいだろうなと思います。
本当に良いプレーだったので、みんなに説明しても良かったのですが、まだ3年生ですし、この日はその練習中に他の子もそういうプレーを自然にする可能性が高かったので、説明して時間をなくすようなことはしませんでした(説明するとすれば、最低限言わなければならないことだけでもちょっと時間がかかりますし、それに、まだ、理論的に覚えてほしいことでもないので。
でも、本当に良いプレーでしたよ!  
まさに、「失うものは何もない、チャレンジャー」という感じの、子供にピッタリのプレーでした! 

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