ちょっとだけ「アピール」について
(2010年6月 通信No.96より)
「ゲームに出たければアピールしろ」なんて言葉をたまに聞きます。
だからアピールをする子も増えています。アピールをするのが悪いとは思いません。
が、その前に、本当に「出たくてたまらない」なら、その前の練習への取り組み方にも必ず表れます。
たまに、練習中は他の子に迷惑をかけても平気で、また、決して「上手になろう!」と強く思っている態度ではないのに、ゲームになると突然、「やりたいアピール」をする子がいますが、私は、気まぐれに練習に取り組んでいる子を優先するようなことはまずありません。
チームなどでも、「アピールしろ」と教える場合は、誤った学び方を子供たちがしないように気をつける必要があります。場合によっては、「その時」のアピールの部分だけに目が行き、普段の様子や練習への取り組み方を考慮しないで評価されることもあるように思います。
それでは、努力の仕方を間違えたり、正しく努力している人のことを正当に評価できなくなったりする可能性もあり、上手になるはずなのに、上手になれなくなる子も出てきます。
誤って高い評価をされてしまう子にとっても、(アピールなんてしなくても、いつも同じように地道に努力している)本来評価される子にとっても、良いことではありません。
まずは、「一時の」アピールの前に、「普段」の取り組みを見るべきです(取り組みと言っても、“大人が考える一生懸命の行動”と“子供が一生懸命にやっている時の行動”にはズレがあるので、大人主観の一生懸命のみに基準を置くことは避ける必要がありますが)。
子供の場合は、アピールの仕方を教える前に、まずは自然に「やりたい熱」「やりたいオーラ」が出るぐらい、サッカーを好きにさせることが大切です。そうすれば、練習への取り組み方が変わってきますから、それを指導者がつかめさえすれば、不自然なアピールの指導なんて不要になります。
*サッカーをやめてしまう子の中には、「一時のアピール」の不得意そうな子や、大人が考える一生懸命から判断したら、その子のサッカーの好きさを(大人が)見誤ってしまうような子がいます。もっと自然に見守っていけば、サッカーをもっと好きになるのに、という子も多くいます。そのような子がサッカーから離れるのは残念なことなので、子供の時にどのようなことが大切なのか、指導的な立場にある人はちょっと考えてみて下さい。
*「気まぐれに取り組んでいた子を優先するようなことはまずない」と書きました。
「まずない」ということは、“場合によってはある”ということです。
同じ成果を得るために、他の人の何倍もの努力をしなければならないこともあります。
同じ量・質の努力なのに、成果がすごく出る人と少ししか出ない人がいます。
こういったことを「ずるい」と考えるだけの子にはなってほしくありません。
例えば、練習中、上手な子が手を抜いていても、「その子がそこまで上手になったのは過去に人の何倍も努力をしたからかもしれない」ということを考える必要があります。
もちろん、「上手になったら手を抜いていい」というわけではありませんが、過去のその子の努力を考えず、ただ一時の様子を見て「ずるい」と思うのは、違います。
さらには、過去も今もさほど努力していないのに大きな成果を得る人もいるかもしれませんし、そういう人に、必死にやっている人がバカにされることもあるかもしれません。「くそ!」と、いくら怒ってみても、負けてしまうことだってあるかもしれません。
その時にどうするか? 腐るのか。 いや、そんなのもったいない。
腐らず努力できる方が、絶対に大きなものを手に入れることができるのです。
こういったことを教えるために、あえて、気まぐれに取り組んでいた子を優先することもあります。
もちろん、それを通じて、双方に努力の大切さやさらなる可能性を伝える(思い出させる)ためです。
・・・もっとも、大好きになれば、「ずるい」なんて考える前に、行動を起こすものです。好きなら、そんなことであきらめられるわけがないですから。
要は、どれくらい好きかです - が、年齢が小さい時は、そんなに強い「好きさ」は持てないのが自然です。
ですから、どんどん好きになるように、今の段階では見守りながら、今、必要なことを教えていく必要があるのです。
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