コミュニケーション・・・
(2006年11月 通信No.49より①)
ちょっと前になります・・・9月のU-12クラスの話です。
練習後、ある子が、ゲームでチームメイトだった子に話しかけました。
「あのさぁ、もっとパスしてよ。パスしてくれないから、みんな困ってるんだよ」と。
言われた子にも理由はあったのですが、何も言わず終了。惜しい・・・というところです。
せっかく友達が「こう思う」ということを言ってきたのだから、それに対してちゃんと答えて欲しかったのですが。理由があったようなので、尚更言って欲しかったですね。
2人が別れた後、言った側の子には、(気持ちを言ったのはいいことだけど)できればゲーム中に言えるともっと良かったかも、ということを話しました。その方がお互いに状況・気持ちがわかり、ゲーム中に修復できるかもしれないので。また、言われた側の子には、考えを相手に言わなければわからない(こともある)、ということを話しました。
双方に正しいところがあるし、改善しなければならない部分もありました。だから、お互いに話し合うことができれば、そこが見えてきたと思うのですが、そこまでお互いに行かなかったので、それがちょっと残念でした。もちろん、こういう状況になったのは私の責任なので、悔しいですが、根本は私がそこまでグラウンドの雰囲気をつかむことができなかったということです・・・。
そして、次の練習日。この2人が揃いました。前とは曜日が違うので、全く同じ状況とまではいきませんが、それでもその2人の関係を再構築するのにふさわしい環境(以前とほぼ同じ)を作れます。
本来責任がないのに嫌な思いをさせてしまった子供たちのためにも、絶対に何かをつかませたい、感じさせたい、お互いを前進させたいと思いました。
前のことがあったので、2人のうちの1人(「パスを出して」と言われた子)は、かなり相手のことを意識して、パスをしようと懸命にプレーしています。それは嫌々プレーをしているのではなく、ただ前向きにプレーしているように見えました。
もう一人の子(「パス出して」と言った子)は、それに絡むような動きになっていません。おそらく、前のことがあるので、「パスは来ない」という気持ちがどこかにあるのでしょう。パスをもらおうと動く時もあるのですが、その瞬間にパスが来ないと止まってしまいます。それが原因にもなりパスをもらえない状況になってしまいます。悪循環です。
前は、パスをする側の子は、パスを出そうとした瞬間に相手がパスを出せない場所(或いはパスは出せても自分のイメージと違う場所)にいるとそこでパスを出さず、自分のイメージでボールを持ち、そのせいでプレー(判断)が遅くなり、パスが出せなくなることがありました。これは改善すべき点でした。でもこの日は、パスを出す側の子は自分で意識を変えてきました。だから、あとはパスの受け手がそれに気づいてくれれば、2人の関係は良くなり、互いにもっといいプレーができるようになります。
・・・パスを出そうとしていた子が、強い意識を持ち、その後もそういうプレーを続けてくれたので、それを説明できる(受け手に伝えることができる)状況になりました。
受け手の子は、そこまで相手がこだわっていたことに気づいていなかったので、気づかせました。
「お前にパスをしようとしている」ということを(まだなんとなくしか認識できていなかったので)はっきりと言いました。それがわかれば動きが変わります。少しわかったようで、動きがそれまでに比べ数段良くなりました。それまで、「お前に来たパスだぞ」と言っても、そのパスが相手に取られてしまったら特に執着しなかった(何としても取ろうとまではしなかった)のに、それからは、何とか取ろうとしていました。相手の足をちょっと蹴ってしまうぐらいに、必死に取ろうとしていました。
少しでもお互いのことをわかってくれたらと思い、パスを出そうとしていた子が相手ゴール前でその子にパスをした時、(そのパスが通らず)相手ゴールに入ってしまった時に頭をかかえていたこと(点が入っても嬉しくない、それよりパスが通らなかったことを悔しがったこと)、パスを出してもらった子が相手の足を蹴ってしまうぐらい(もちろん故意ではありません)、必死にそのボールを受けようとしていたことを、練習後にサラッと2人に言いました。どこまで深く感じ取れるかはわかりませんが、ただ、2人が気持ちを「伝える」ことによって互いに成長したのは明らかなので、頭と体に、「こんなことがあった」ということを少しでも“経験”として覚えておいてほしいと思います。2人とも、ブラボーでした。
・・・2人はブラボーですが、私は大反省です。空間をつかみきれていなかったことが。頑張らねば!
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