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2010年9月25日 (土)

「嬉しさ・悔しさ」・・・子供の受け取る大きさは・・・

(2007年12月 通信No.65より)

サッカーが上手になるには、成功の喜びを味わうことも、失敗の悔しさを味わうことも必要です。また、友達の気持ちを感じることも大切です。チームに入っている子は、試合に出る子、出ることができない子(←本当はまだ勝つための選手起用なんて、特別な場合を除いては必要ないのですが)がいるでしょうから、試合に出る子が試合に出られない子の悔しさを感じたり、チームに入っていない子も、遊びや友達とのゲームの中で、失敗した友達の気持ちを感じたり・・・。
でも、この感じ方、これが子供と大人では全く違うようで・・・。
子供が悔しさを感じているように見えないこと、友達の気持ちを理解していないと感じることが、皆さんはありませんか。「本当に悔しければそんな行動にならないだろう」「友達の気持ちを考えたらそんな態度とれないだろう」・・・「悔しくないのか」「優しくないのかな」と思ったこと、あるのではないでしょうか。・・・私はありました。
子供たちと同じ空間を過ごす中で、「この子の気持ちはわかるだろう」と思って話す。
一人一人の優しさや強さも見てきています。だから、「こいつらならわかるだろう」と思って。
なのに、例えば、誰かが苦しい時に、その子のことを考えたら、冗談なんか言えないはずなのに、冗談を言う子がいる。「えっ、お前、なんでそんな冗談が今言えるの?」- そう思ったことが何度もあります。同じように他人事だとしか思わず、話を聞いていない子がいる。
何でわからない? -「いや、話せばわかるだろう」と思い話す。でも、話せば話すほど子供たちが離れていく。気持ちをいくら伝えようとしても、分りやすい言葉をいくら使っても、いくら真剣に話しても。そんな経験を何度もしました。
でも、その場に合わない冗談を言う子も、話を聞いていない子も、悔しい経験をしたことがないわけではないし、同じように苦しんだり、悔しがったりした子ばかりです。そして、決して人の気持ちがわからない子ではなくて・・・。何で? ・・・ずっと考えて、そして、ようやく出た結論。
それは、子供は、子供の深さでしか、まだ悔しさを受け取れないのだろうということです。
人の気持ちを理解するのもそう。子供の深さでしか受け取れない、感じられないのだと思います。
そのかわり、大人にとっては小さなことでも傷つくことがあるように、子供の深さまでは十分に感じることができるんですよね。ただ、それを超えるとまだ感じられないということなんでしょう。
・・・私がそう思うだけかもしれませんが。
だから、例えば、大人から考えたら、「悔しい思いをしたばかりなのに、そんなことすぐに忘れているじゃないか」-そう見えることがあっても、本人は悔しくないわけではないんですよね。
そう思うようになってからは、子供の深さ以上のことは私も話すのをやめるようにしました。決してあきらめたということではありません。ただ、まだわからないことよりも、わかる部分のことを、彼らが受け取ろうとしていることを、受け取れる範囲のことを必要な分だけ話すようにしました。
それにしても、もともとはもっと「子供」として見ていたはずで、子供だからまだこんなことはわからないだろうと、大人のような深さで話すことはなかったのに、何でこうなったんだろう・・・。
きっと、長い時間いっしょに過ごす中で、まだまだ子供だと思っていた子が高学年くらいになると急に話し方も生意気になるし、時には大人顔負けのプレーも見せるようになって、そんな様子を見て、子供を認める部分がかなり出てきて、いつの間にか大人のように見てしまう部分が出てきたのかな、と思います。
さて、子供の持つこんな深さ、大人の私にはわからない現象・・・これは一体何なのか・・・。
きっと、これは子供が自然に、無意識に取る、自己防衛の行動なのでしょう。まだ、自分に起きたことを大人の感じる深さで受け取れる心と体の状態ではないということなのだと思います。
必要以上に受け取ってしまったら、心や体がこわれてしまうこともあるのではないかと思うのです。
まだ体が出来上がっていない子供たちは、体に合わぬ努力を続けたら体が持たずケガをすることもあるでしょう。心の部分も同じことが言えるのでしょう。だから、必要な深さまで、自分がそれを成長への材料に変化させることができる深さまでで、無意識に食い止めているのではないでしょうか。
考えてみれば自然なことです。
感情が育つためには、自分で感じ取れる、相応しい大きさでの嬉しいことや悲しいことが必要でしょう。色んな経験を通じて、色んな気持ちが育って、その結果、色んな人の気持ちを理解できるようになる。もちろん、嬉しさや悔しさも感じて、強く、優しくなっていくのでしょう。
それが、「大人から見たら」とても悔しい経験をした。「これはリベンジのために一年間かけて練習してやる、それまでは楽しいことは辛抱だ」と、ちょっと嬉しいことがあっても「いや、俺はこれで喜んでいちゃダメだ」とか、他に興味を持ちたくなることがあっても、「今はそんなことに目を向けている場合じゃない」という感じで大切な時間を過ごしたら、いったいそれだけの感情が育つでしょうか。
嬉しさをとっておく、悔しさをつねに自分に置いて。そんな時間を過ごしたら、本当は色んなことから感じるべき楽しさ、嬉しさ、面白さ、悲しさ、悔しさを感じる機会が減ってしまいます。
機会が減ったら育つべき感情が育たないかもしれません。
成長して、自分の見ることができる世界が少しずつ大きくなっていった時に、本来そこで感じられる嬉しさ、楽しさ、悲しさなどを感じられなかったら、なんとつまらない世界でしょうか。
きっと、成長していくその世界の楽しさを感じるために、成長を楽しんでいくために、今は、必要以上に、悔しさなどを受け取らないのではないでしょうか。私はそう思うようになりました。
「一年間、辛い思いをした後に得られる嬉しさは、辛い思いをしなかった時に得られる嬉しさの何倍もすごい」かもしれませんが、それも、「嬉しさ」を感じる経験がたくさんあって、「嬉しい」と感じる心が育っているからこそ、得られるものだと私は思います。
今という時期は色んな感情を育てるための時期でもあるのでしょう。子供も、心と体を発達させるために、一生懸命なんですね。・・・・・・偉そうに書きましたが、「と、思います」ということで。

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