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2010年9月23日 (木)

子供の一言から

(2007年1月 通信No.51より)

■「おかあさんが今日来るよ」
U-12クラスの子が、私にこう言ったんです。普段、「こらぁ、もっとちゃんとやらんかい」と注意をすることや、「んっ、コイツなりにちゃんとやっているようだから(怒らず)見ておこう」と言葉を飲み込むことも多い、実に大人にはわかりにくい子供ラインを行っている子です。子供の理想だとも思います。大人には簡単にわからない。
この子が、さっきのようなことを言い、さらに「お母さんに何か話してよ」とまで。
あることないことじゃんじゃん言うこの私に(←冗談ですよ~)「話せ」と促すとは。
どう思います? みなさん。 自分で、「自分がちゃんと練習をしていない」と思うのに「親に何か話して」って言いますか? もちろん、そういうサインを送ることもあるかもしれませんが、今回は、自然に捉えて良さそうです。つまり、やっぱりその子はその子なりに、ちゃんと練習に取り組んでいたんですね。実際、きちんとゲームの中などで成長を示していたので、みんなの前で褒めたこともありますが。このヤロー、普段は生意気なのに、かわいいんだから。
・・・本当に、自分の取り組める範囲(の中の高い集中状態)で取り組んでいるのか、子供らしく楽しんで練習しているのか、それともただふざけてしまっているのか・・・そんな様子を見て自分なりにアプローチしてきましたが、無理をさせていないか、気になっていたので、こんな言葉を聞けて、この子が頑張っていることがわかったことが嬉しかったのと同時に、この子の今の伸びる段階や、一生懸命の時の表情をよりつかむことができ、良かったと思いました。

■「長い距離、ドリブルができたよ」「左足でシュートしたよ」
U-9クラスの子です。
雨で練習が中止になった時に、一緒にゲームをした時の子供の感想(というか会話の中の一言)を後でお母さんから聞くことができました。
「長い距離ドリブルができた」ということを言っていたようです。確かに長い距離ドリブルしていました。直線的でしたが、ほぼ全速力の状態ですね。最後は左足でシュートを打っていたのですが、この時は、彼にとってはごく普通のプレーかと思っていました。最近、力もつけてきているし、これぐらいは自分では何とも思わない(段階まで来ている)だろうと思っていました。だから、その時は特にそのプレーには触れなかったのですが、後で話を聞いたら、先ほどのような一言があったようです。しかも、次に私にあった時には「この前、長い距離ドリブルして左足でシュート打てたのに」と言ってきました。この子にとっては、あのプレーがそこまで頭に残るプレーだったのですね。私的には、もう一つ上の段階の要求を考えているところでしたが、(実際に一つ上の段階の要求でも、この子はそれにチャレンジして、達成感を得ているとも思っていたのですが)その段階のことを注意したり褒めたりするよりも、まだこの段階を十分に味わう方が良かったのでしょうね。
これからグングン伸びる時期なので、「今、すごく上の段階・環境にいる」ことよりも、「今、吸収できる段階・環境にいる」ことの方が重要です。そのためには、高すぎる要求でも、低すぎる要求でもなく、伸ばせる要求をすることが必要です。さりげない一言ですが、「こんなことを言っていた」ということを聞けたお陰で、また、子供が「こんなことがあった」と等身大で興味を持った話をしてくれたことで、この子のプレーをより適当な基準から見る、より適当な段階を注意してみることができるようになったのでした。

■「でも、はじめの頃からは(比べたら)増えてるよ」
これまた子供なりに挑戦していたことがわかる発言なのです。
スクールの練習は2人組などで行うものがあります。コーチがペアを決める場合と子供たちでペアを決めさせる場合があります。また、子供たちがペアを決める場合でも「違う学年同士で2人組」や「違うチーム(学校)の人と2人組」などと条件をつける場合もあります。色々なことを考えて、こちらで決めたり、条件付きで子供に任せたり、全てを子供たちに任せることもあります。
ただ、子供によっては、色んな子と友達になってほしい場合や、普段は一緒に練習をしない子と練習をしてほしいこともあります。
・・・この前、2人組の練習などの際に組む相手にちょっと偏りの出てきた子に、「○○君とは組んじゃダメ」という条件を出しました。理由は単純に「色んな子と練習をしてほしい」「色んな子とコミュニケーションをとれるようになってほしい」からです。ゲームでのプレーや練習の様子から、今はこの子にはこういった事が必要だと判断しました。そして翌週、この子に「この前、コーチが言ったこと、覚えてる?」と聞くと、「覚えてるよ。でも入った頃より、これでも(新しい友達の数)増えたんだよ」と言いました。怒って言い返しているのでも、困って訴えているのでもなく、とても自然にこう答えました。それを聞いて、色んな友達とのコミュニケーション作りについては、「こいつもこいつなりに努力してたんだ・・・」と分ったのでした。普段の行動からだけでは、そこまで意識していることはわからなかったのですが、本人がしっかりと「増えた」と認識できるくらいまでには、ちゃんと意識して、違うチームの子の名前や違う学校の子の名前を呼んだり、2人組の練習などもしていたのですね。
・・・・・・・この話には続きがありますが、それはまた機会があったらお話しします。

■「どうやったらボール飛ぶの? (強くけれるの?)」
2年生の子が私に質問をしてきました。まだボールは強く蹴れなくていいのですが、その子はチームにも入っていますし、周囲に強く蹴れる子もいるのか、心配なようです。
その子はドリブルで色んなワザに挑戦し、テクニックを身につけてきているので、「今はドリブルが上手になる方がいい」ということを伝え、まだ不安そうだったので、(ゲームを頑張ってやっていれば、ボールを蹴る時に自然に踏み込む感覚が身についていくので)「ゲームを今のように頑張るように」話しました(スクールでは細かいボールタッチもやっていますので、蹴る時に必要なコントロールを養う要素、正確にボールを捉える感覚はどんどん身についていきます)。
本当は今の段階ではこの子の今のプレーで十分なのです。うっかり強く蹴れるようになってしまうことの方が心配です。年齢が低いうちは、強く蹴れることであらゆるピンチを脱出できたり、攻撃の時に活躍もできたりします。すると、ますます力あるキックに頼り、本来なら今の段階で身につけるべき必要な技術が伸びなくなってしまいます。そして、年齢が上がり、みんなが自然に強くボールを蹴れるようになった時には、それまでの武器だった「強いキック」だけでは、それまでのように活躍できなくなるようなケースも出てきます。頑張っていたのにそうなってしまうとイヤなので、そんな強力キックを教えるようなことはしないのです。ただ、子供が強いキックに憧れるのは自然ですから、そんな時は周囲の人がちゃんと話してあげることも必要だと思います。今回は、お母さんも、今の年代に大切なことを理解されているので、無理に(後で伸びるところを)伸ばすようなことはせず、今のプレーを認めてくれているので、子供にとっても本当に良かったと思います。

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