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2010年9月23日 (木)

子供の素のサッカー

(2007年6月 通信No.58より)

U-12クラス。この日は子供たちの“素”のゲームを観戦することに。ほとんど声をかけず、そっと隅で見学。
ゲームは4~6年生ごちゃ混ぜ。コミュニケーションをあまりとる時間もなくゲーム開始。学年も、学校も違う子達と一緒になって、どうなるかと見ていました。
初めは随分スローな展開です。まだ周囲の子とコミュニケーションをほとんどとっていない中でいきなりゲームが始まり、様子を伺っているのでしょうか。それでも私は最小限の働きかけのみ。「お前ら~」と言いたくなるところをガマンガマン。まだ始まったばかり。
それに、こんな「子供たちの素のサッカー」を見れるチャンスは滅多にないので。
・・・・やがて、動きが活発に。そりゃそうです。褒められる、褒められないに関係なく、ただなんとなくやっていたらつまらない。そんな相手に合わせていてもつまらない。
だから、みんなが、「自分」が楽しめるように動き出します。決して明るくというわけではなく、でもちゃんと「自分」から動いている。ウォーミングアップでは、周囲の子と名前を呼び合うようなことはしていないので、「きっと自分にはパスはこない」と思って立ち止まっている子もいます。でも、パスは突然来る。そして、仲間が自分にパスをすることがあるということがわかれば動く。「もしかしたらパスくるかも」と思って自然に動くようになる。そんな感じで、少しずつみんながくっついていきました。知らない子が集まってサッカーをしたら、きっとこんな感じです。まさに子供の世界。良かったです。
相手ゴール前でただ待つだけではパスは来ない。動き回ってやっと手に入れたボール。苦しい時に何もしないで、都合のいい時にだけ出てくる人にはパスをしない。当たり前です。そして、次第にみんながボールがどこにあってもプレーに絡むようになる。
「都合の良い時のみ登場する人」にはパスをしないが、一生懸命ボールを追いかける仲間には、さっき失敗していたってパスをする。「勝ちたいから、勝とうと思ってプレーする」、でも、それだけにしばられない。自分たちが納得するプレーを選択する。友達の気持ちをわかってプレーする。いやぁ、すごかったです。
時には笑いながら適当なコミュニケーションをとってプレーしますが、ワーワー楽しそうにしているわけでも、名前をたくさん呼び合っているわけでもありません。でも、途中で、「こういうサッカー、いいと思う」と言いました。それまでほとんど褒めなかったのですが。
「こういうサッカー、いいと思う」に続けて、「ゴール前でただ待っていてもボールをもらえない」と言うと、ある子が「だって苦労して(相手チームからボールを)取るんだもん」と。その通り。それでいい。それで、みんなが絡みだしたのだから。こう言った子は6年生。
また、相手のボールが自分に転がって来た時に、(ボールをくれて)「どうも!」と言う子。“あり”です。だから相手が程よくムキになり、「この~」とボールを取りに行く。お互いに成長・・・。「どうも」と言った子も6年生。
先ほど「一生懸命走ってくれる仲間にはパスを出す」と書きましたが、特にそれが印象的だった子も6年生。・・・6年生の子から4年生の子へのパスが(パスの相手には)とても間に合いそうもないパスだった時、相手の子(パスの受け手)は、ボールがラインを割るまで必死に追いかけました。パスを出した6年生の子は、かなり「負けるのが嫌い」な子です。
でもその子、その後、自分で突破できそうな時でも、その4年生の子にパスをたくさんしていました。相手の4年生の子も、何とかこたえようと一生懸命でした。また、この6年生の子に、相手チームの4年生の子がボールを何度も取りに行く場面があったのですが、なかなかこの子からボールを取れず・・・でも、その6年生の子がボールを持つたびに、その4年生の子は取りに行って。6年生の子は、ちゃんとその挑戦を何度も何度も受け止めてあげていて、「まだまだ」というのを教えてあげていました。こんなのもすごくいいことです。
そして、ちょっと前の通信で、声を出すことについて、かなり厳しい言われ方をした子が、走るだけでも、名前を呼ぶだけでもなく、このゲームでもすごくみんなに絡んでいました。この子も6年生。
この日にいた6年生の子は、子供のサッカーを、「子供」らしく見事に引っ張っていました。だから、4、5年生も、良いプレーがたくさんできたのでしょう。みんな、ナイス! でした。
そして、翌日の金曜日。天気も良く、通常の練習。U-12クラスのゲーム。
いやぁ、前日の木曜日とはまったく対照的なゲーム。とにかく賑やか。
笑う、話す、呼ぶ・・・うるさい(おっと!)賑やか。ふざけてるのか? と言いたくなるほど。前回(と言っても連休をはさんだので随分前ですが)、みんなが“バラバラ”な感じでゲームをしていた金曜日クラス。だから、今日はみんなが同じように動いて、参加して欲しかったんです。前回は私の注意の仕方、雰囲気の持って行き方に問題があったのでしょう。働きかけるタイミングが少し早かったのかもしれません。話し方も良くなかったのでしょう。前回の子供たちの表情の変化をよく思いだし、変な方向に持っていかないように、自分自身に注意。「グオーッ!」と言いたくなる場面でも、きつい言い方をしないようにあえてスキップしてコート内を動いてみたりして。この歳でのスキップは・・・・。
そして、雰囲気を壊さぬように、必要に応じて、何度か子供たちに説明をしたのでした。
なぜ、「ふざけてるのか?」というゲームでもそこまでガマンしたのか(年甲斐もなく、見ている人に不快感を与えるようなスキップまでして)というと、出ているプレーが、ふざけていたら生まれない、成功しないプレー、ふざけていたらケガをするようなプレーだったからです。特に、まさに「ふざけてるのか、どっちだ?」という「?」状態最高の時に出たプレーが、最高のプレーでした。
自分のところに来たボールを、相手が取りに来たのを瞬時に察知し、サッと浮かし、相手とすれ違う・・・文字だとわかりにくいですが、かなり頭が働いていないと出ないプレーです。・・・その時はそのプレーを褒めていません。間違いなくいいプレーですが、みんなの前で褒める結果、みんながそういうプレーにこだわるようになることを防ぐためです。とっさに判断し、体を動かした。さらにそれを成功させる技術があった。全部が組み合わさったのが良かったのです。うっかり褒めると、表面上だけを真似るプレーが多くなる危険があります。このプレーは、表面上だけ真似てできるようなプレーではなく、そうなるのを防ぐ必要があり、褒めませんでした。ただ、心の中では「やりやがったな、このヤロー」。驚きと感心です。・・・
また、転がっているボールを、前方に速く走りながら、「足の外側で行きたい方向にそのままコントロール」なんてプレーも出ていました。動いているボールを自分が動きながら、行きたい方向へ動かすことは難しく、それを足の外側でやるのは、さらに難しいことです。
他にも、浮き球のコントロール、ボールの奪い合いなど、気を抜いていたらうまくできないようなことが成功して・・・これはおふざけではないと思い、黙っていました。
気づけば、「初めての場が苦手」と言っていた子が大きな声でボールを呼び、走り回り、ボールを何度も触るような、見どころ満載の、みんなが関わっているゲームになっていました。
対照的な2つのゲームでしたが、どちらも良さがある、子供らしいゲームでした。
今はそれぞれのゲームからそれぞれの良さを、子供の頭、肌、心で、十分に感じてほしいと思います。いずれは、「真剣」に勝負するサッカーを求める時がくるでしょう。その時に、おふざけの魅力に取り付かれてしまって、そっちに引っ張られたら、もったいないですから。体が、超真剣モードのサッカーに対応できる体になり、精神的にも超真剣モードで楽しさを感じる年代になった時に、そのサッカーでしか味わえない達成感、充実感をしっかり吸収できるように。今はその準備段階。今しかできないサッカーで、十分に成長してほしいですね。
・・・ついでに言えば、体と心が超真剣モードのサッカーを求めるようになる頃には、当然チーム練習が多くなります。家族で過ごせる時間(過ごすべき時間)が十分にあり(必要で)、その中でサッカーやサッカー以外のことをたくさん経験できる「今」を、皆さん大切に! 

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