不自然なことを教えると・・・
(2010年7月 通信No.99より)
※今年度の話ではありません。
ある日のU-9クラス、1人対1人の対決形式の練習をしている時のこと。
ドリブルをしている子に対して、ボールを奪いに行った子が肩でドン!
この「ドン」がちょっと強すぎ。
当たられた子が「押すなよ」と言うと、当たった子は、「肩なら当たってもいい」ということを教えてもらったか覚えたかしていたようで、「肩だからいいんだよ」と言いました。
プレーしている相手の肩に、肩を当てて押すのは反則ではありません。でも、過剰な力やプレーできない状況(ボールが離れているなど)では反則になります。
さて、その当たられた子は、相手に文句を言ってもそう答えられてしまったので、気持ちがおさまりません。
この1対1の練習では、その後のゲームで子供たちがどんな感じになるのかを見ておくために相手を決めていたので(対戦相手が変わらないようにしているので)、もう一回順番が回ってきたら、また同じ相手と当たることになっています。
・・・もうどんな感じになるかはだいたいつかめたし、どうしようかな?
もう一回やらせるのはちょっとな・・・ということで、さらっと順番を変えちゃいました。
順番を変えずに、気持ちのおさまらない子に「あれはワザとじゃないんだよ」と予め説明し、プレーが荒れないようにしておいて対戦させるのも一つの方法としてありましたが、あの当たり方をされたら、説明を受けてもおさまらないのが普通だろうし・・・。
それに、説明を聞いて「はい、わかりました」も、このケースではちょっと違うような気がするし(私なら納得はできないでしょう)。
なので、ここでは話をせず、その後、間を置いてから話しました。
話した内容は、
その当たった子が、まだ(その時点では)スクールに入って間もないこと、
ソラには、チームに入っている子、他のスクールに通う子、チームやスクールに入っていない子など様々な子がいること、
それぞれのチームやスクールでは、まったく違うことを教えることがあるということなどなど・・・。
そんな話をしたら、まず、「えっ、入ったばかり?」と言い、その後の話も聞き、わかってくれたようでした。
また、当たりに行った子には、「相手が痛がっていたら、自分がしたことが反則じゃなくても、“別にいい”ということはないだろう?」と話しました。
さて、当たられた子は、この後・・・けっこうケロッとしています。
この子の、こういうところが私は好きです。
悪いことやずるいことをした奴には「なんだ、てめー」となりますが、相手が勘違いをしている場合や、「なるほど」という理由がある場合は、ほどよくわかってくれる。この大きさが子供らしくていいのです。
・・・ところで・・・
不自然なことを教わり、それを意識してやると、一生懸命やっているのに、それが「反則」につながることや、成長にとってあまりプラスに作用しないということが、たまにあります。
自然にやらせておけばいい感じでプレーできる、いい感じで覚えていけるのに、段階や状況などを考慮せず、形を教えてしまったりすると、今回のようなことになってしまうことがあるのです。
同じように、子供が相手に抜かれた後、ボールを奪い返す時に、“まず体を当てに行く”ことを“意識して”やろうとするのを見かけることもありますが、“体をぶつける”をまず意識していることで、かえって動きが遅くなったり、不自然になったりして、しかも後ろから相手を押す形になってしまうこともあります(後ろから押すのは反則です)。
そんなことを考えずに相手やボールの動きに反応して素直に動けば、どこに戻ったら守れるか、どういう風に動けばボールを奪えるかという“本能的な部分”で、すごく良い動きをできるのに・・・と思うことがあります。
子供たちのサッカーでは自然にボールを追いかけていれば、自然に、結果的に肩で相手を押すような格好になったり、上手に体を使いあったりしていくものなのですが・・・。
ちなみに、そういう不自然な動きでボールを取れることがあっても、私は子供を一切褒めません。
その子は一生懸命ボールを取ろうとしていると思うので、それを否定することは避けたいものです。ですから否定はしませんが、その代わり、褒めてそれを強化してしまうようなことも絶対にしないようにしています。
そして、改善できるように違う方法でアプローチをかけるようにしています。
ちょっと、話が専門的になってしまいましたね。わかりにくくてすみません。
さてさて、実はこの前、「私はサッカーの経験がないので」と、ある指導者の方がおっしゃっていました。
ですが、ルールを知らない子供でも、「自然にボールを追う、触る」ことをしていれば、「反則」って実は起こりにくいものなんです。
「ルールがわからないから、どう教えていいかわからない」という方は、子供に自然にプレーさせることができたら、それだけで十分、子供のためになっていると思います。ですから、そのような方も安心して下さい。
子供のサッカーでは、「子供らしく」がとても大切なキーワードなのです。
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