困ったプレー
(2008年12月 通信No.77より)
最近、ある3年生の子が面白いプレーをよく見せてくれます。他にも面白いプレーを見せてくれる子はたくさんいるのですが、この子の場合は、「少し困りながらのプレー」という特徴があります。
例えば、ゲーム中に、
自分の目の前でボールがバウンドする
→手の高さまでボールが上がってきた
→蹴りたいけれど手は使えない
→「どうしよう」
→そして、つい手が出てしまう
→でも、「いけない!」と、とっさに手を引っ込める
→ボールが下に落ち、また弾んで上に来る
→また手が出そうになる
→でも、とっさに引っ込める
→そして、足でボールを捕らえようとする・・・
・・・困っていることがよくわかりますが、困りながらも、次のボールの捕らえ方を見れば、サッカーの技術をバンバン吸収していることがよくわかります。
他にも、味方が蹴ってくれたボールを、(自分が周囲の状況を把握していない時は)ついその子に蹴り返してしまって、この時に、足の甲で蹴るので(力加減が難しく)、ちょっと強く蹴ってしまったり・・・。
友達へのパスは、浮いてしまうと相手の子がボールを触りにくいので、ゴロで蹴る方がいいのですが、前から転がってきたボールを足の甲で蹴る時には、ゴロにすることが難しいのです。でも、この子は、そういう時でも足の甲で蹴ろうとするんですよね。
相手の子はびっくりするかもしれませんが、この子がボールを蹴るまでの目の動きを見ていると、本当によくボールを見ていて、丁寧に蹴っているつもりなのがよくわかります。だから、私は、いいプレーだと思います。
・・・実はこのおまけを書いている数週間前、この子に、「ねぇ、ボールが浮いちゃう。どうしたら浮かないの?」と聞かれたので、「ここでこうして蹴れば浮かないよ」と見せたら、何度も自分で練習して、ちゃんと浮かさないで蹴れるようになったことがあったのでした。なので、ゴロには蹴れるのですが、力加減が難しく、まだちょっと強くなってしまう時もあるのです(一般的には足の内側のキックが最も正確なのですが、低年齢の子は、体の構造的に足の内側でのキックはまだちょっと難しいのです)。
なので、この子が困りながらも、自然に足の甲のキックを使うのを見ると、面白いなと思います。足の甲のキックは、強さと方向の調整が本当に難しいので、たまに、「あれ?!」となりますが。
また、ドリブルも、困りつつのドリブルをよく見せています。
困ってボールを引く、そして逃げる。でも逃げ切れず、またボールを引く。相手が足を出すので、さらに引く、引く・・・。それで切り抜ける時もあれば、取られてしまう時もあります。でも、取られたらすぐに追いかけます。そういうプレー、困った時のプレーが本当に自然でいいんですよね。
ちなみに、困ったプレーの中でも、初めに書いた「浮き球の処理」は、かなりGOODだと思います。
こういう時に、どうしていいかわからず、手を使ってしまう子、ふざけるしかなく、手で取っちゃう子、わざとじゃないけど無意識に手でボールを触る子・・・色んな子がいます。
さらに、わざとだけど、周囲にバレないように器用に手を使う子もいます。こういうのを「ずる賢さ」と言う人もいるようですが、これは「ずるい」だけだと私は思っています。いいプレーだと私は思いません。
その何倍もいい、「困った」プレー。これからも、こういうプレーをたくさん見せてほしいと思います。
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