« 復活を支える子供たち・・・敵? 味方?  | トップページ | 皆さんと施設の方へのお礼 »

2010年9月25日 (土)

ネットを揺らせ! 

(2007年12月 通信No.65より)

「ネットを揺らせ!」か・・・。
おー、サッカーっぽい題ですねぇ。ゴールネットを揺らす場面、感動的ですもんね。
たまに、「日本の課題は得点力不足」とか「ストライカーが育たない」なんて話を聞くこともありますし、「ある国ではネットを揺らす時の“サッ”という心地よい感覚を小さい頃から植えつけるためにゴールとゴールネットを使ってシュート練習をする」なんて話を聞いたこともあります。
そう、「ゴールネットを揺らせ!」。だいたい日本のサッカーはさぁ・・・なーんて私が考えるわけなくー(ププッ)、だって子供たちにとっては“空き缶”だってゴールになりますもん。子供同士で“空き缶”でゴールを作ってサッカーをしている時は、その空き缶だって子供たちにとっては立派なゴールで、ゲームの内容やプレーによっては、シュートを決めた時は本物のゴールと差なんてなく、すごく嬉しいんですから。こういう、形じゃなくて本質をつかんだり、感じたりする感覚を育てる方が大切だと私は思っています。それに日本代表、すごいと思いますもん。
では、なんの話かと言いますと・・・。
U-12クラスでのこと。
ゲーム時、人数が多いチームは、1人ずつ「お休み」をすることにしました。コーチが、ある目的から「お休み」の順番を指定することもありますが、この日は子供たちで順番を決めさせました。
すると、この順番決めで軽い言い争いが起こったのです。「たかが順番」だとも思うのですが、子供なりにこだわりがあるようで。2人の子が、「俺、2番がいい」「俺も2番がいい」「はぁ? 早い者勝ちだし」「何それ、絶対、俺2番じゃなきゃやだ」・・・こんな感じです。おー、険悪な雰囲気。これから楽しいゲームだと言うのに。
とりあえず、その言い合いの雰囲気を感じるために、その2人の間を素通りする私。
そして、通り過ぎながら、「大丈夫」と確信。ちゃんとお互いに気持ちが届いているし。
あとはちょっと様子を見ることに。すごいんですよ~、ソラに来ている子たちの力。
試合が始まり、もめつつも休憩は1人ずつちゃんとして1試合目終了。ちょっと偉いと思ったのは、自分のチームのもめごとをゲーム中に出さなかったことですね。ゲーム中は、言い合って順番をゆずらないことはありませんでした。そんなことすると、相手にも迷惑かかるし、他の子たちにも迷惑かかりますから。そういう場面で、不本意ながらも順番を守った子、偉いですね。順番決めでもめるというのは協調性なさそうですが、ゲームにそれを持ちこまないというのは立派な協調性の証。
1試合目が終わり、そのチームがコートの外に出る際、「俺、こんなチームやだ」「俺もやだ」という声が聞こえました。私にも聞こえる声で言っていますが、私は聞こえていないフリ。相変わらずひどい人・・・。
休憩・・・「さて、どうする?」と見ていると、「やだ」と言った2人がお互いに少し離れて座りました。状況としては、言い合いをした子のうちの1人を含めて4人がまず座り、言い合いをしたもう1人がそこから離れて1人で座っています。離れている距離は、5mくらいでしょうか。
距離のとり方、座り方が子供らしいので、私は子供たちのいる場所からは見えにくい場所に移動し、気配を消して様子を見ます。
子供たちは、みんな少しだけネットに寄りかかって座っているのですが・・・・・ちょっとすると、4人で並んで座っている子たちが、寄りかかるのを利用して「ネットをゆらゆら」し始めました。その振動はネットを伝わって、5m離れた子にも届きました。
― ゆれが届いた瞬間、ちょうど、言い合いをした2人の子の目があって。
振動が伝わることがわかった子は、さらに伝わるように、もう少し強く寄りかかって。振動を受け取った子も、同じように少し振動を返して。
受け取ってもらって、返してもらったら、安心したのでしょう。お互いにネットをもっと強く揺らし始めて、振動を伝え合っています。伝われ、伝われー!  揺らせー! 
お互い気まずそうな顔から、少し笑顔になって。ネットの振動の大きさと比例して、表情が大きく変わって、どんどん良い顔に。お陰で汚れきった私の心もすっかり浄化されました。
最終的にネットは“ブンブン状態”。普段は、ネットに強く寄りかかったり、ネットをブンブン揺らしたりしていると注意をします。が、その注意は今度することに。
言い合いやケンカをすれば、謝らなければならないこともあるでしょうし、謝らなくていいこともあるでしょう。
色んな仲直り、気持ちの伝え方があります。それを知るためには、「嫌でも謝る必要があること」や「謝られなくても気持ちを受け取る必要があること」などを知っていく必要があります。
色んなことを経験して、適当な大きさで苦しんだり、跳ね返す - そんな経験を繰り返して、友達を助けたり、協力したり、自分で頑張ったり・・・たくさん成長していくんですね。
これまたあっぱれな子供たち。あ、ゲームもちゃんと見ていますよ、サッカーコーチなので。
ヒネクレ者の私に「あっぱれ」という言葉で今年最後のおまけを終わらせた子供たち。来年も期待しましょう! 

|

« 復活を支える子供たち・・・敵? 味方?  | トップページ | 皆さんと施設の方へのお礼 »

子供の行動に隠れたもの」カテゴリの記事