« 卒業・・・年度初めの頃・・・相手の気持ち・・・ | トップページ | 表情・手の先・足の指先・体の動き・・・ »

2010年9月23日 (木)

新年度の練習風景から

(2007年4月 通信No.55より)

新年度、クラスが変わってから初めての練習となる第一週目は、適度のリラックスと適度の緊張を雰囲気作りの基準にしていました。緊張している子もたくさんいるので、ものすごくリラックスさせてあげるのも良いかもしれませんが、緊張が強すぎるような場合でも、少しだけ和らげるような働きかけ、「適度」だと思う段階までしか、私は持っていきませんでした。また、緊張感が足りなさすぎる場合は、緊張を高めるような働きかけをしました。
もう何年も在籍している子やこの4月から参加する子など、経験年数が様々で、色々な性格の子が初めて集まる場で、事故やケガが起きないようにするには、どちらの子も近づく、重なる部分のある、このラインがいいかなと私は思います。また、成長するという面からも、せっかくクラスが変わるのに何も変化を感じないで参加するよりは、変化を感じ、その上で自然にできる、或いはちょっと緊張しながらも少しずつ自分で(友達との触れ合いや自分にできることの発見などから)緊張を溶かしていったりする方がいいのかな、と私は思います。
U-12クラスの子の中には、曜日を変えて初めての練習に参加した子が、「俺ね、初めてのところって(周囲に知っている人のいない場)、ダメなの」と言ってきました。これまでの経験で、そう思っているのでしょう。もちろん、それを克服するのも良いことでしょうし、色々な経験を重ねて自然に克服されるというのもいいでしょう。でも、「初めての場が苦手」ということ自体は、決して悪いことではないと私は思います。そういう子だからこそ感じられることや気づけることがたくさんあると思うからです。
なので、そのままでもいいのかとも思うのですが、それでも、その自分への評価(悪い評価ではないですし、自然でいいと思いますが)に、「でもいざとなればやれるんだよね、俺」とか、「でも、頑張ったらそれだけでも楽しかったな」とか、「だけど、友達を増やせたんだよな」なんてものもプラスして欲しいなと、(彼らが大成長できることを知っている者としては)思うのです。もちろん、適当でない要求は良くないと思いますが、彼らの持っている可能性に相応しいものは(彼らが自分の可能性を知る意味でも)必要かな、と思っています。
さて、そんな第一週目の練習。各クラスの様子をちょっとだけのぞいてみましょう。

■U―6クラスでは・・・
今の年長さん、みんなお兄さんになりましたね。みんな年中さんの時は・・・。可愛らしさは秘密秘密! 
子供らしい子ばっかりだったので、その時の自然な姿を見せてくれてましたね。
一人一人、行動は違っていましたし、みんなが適度に(?)、一人一人違う方法でコーチを困らせてくれ・・・大人を困らせるのは子供の仕事ですよね。仕事熱心? ・・・そんな子たちだったので、無理のない、自分の成長にあった段階をちゃ~んと経て、それぞれ今、お兄ちゃんになったんでしょうね。ものすごい成長です。
今年も、子供らし~い子ばかり。また一年、年中さんと年長さん、少しずつお兄ちゃんになっていきそうで、楽しみです。

■U-9クラスでは・・・
新しく1年生になった子で、コートの中になかなか入って来ない子がいました。
一番乗りなのに。コートの中にはボールがたくさん転がっています。幼稚園の頃はすぐに中に入ってボールを蹴りだしていたのですが、コートの中を見ても、なかなか入ってこない。「ボールが大きい」のが気になったそうです。U-6クラスのものより、ちょっとだけボールが大きいんですよね。クラスが新しくなったことのドキドキもあって、この「ちょっとだけ」の大きさの差が、この子にとっては「大きな」差に映ったのかもしれませんね。
ボールを見てはちょっと固まる、ボールを見ながら一言何かつぶやいてはまた様子を伺うという、なんとも可愛~い行動をしばらく繰り返していました。
数分経ち、コートの中に入り、少しずつ蹴り始めると安心したようで、ようやく動き出しましたが・・・。その蹴り始めも、様子を伺いながら。顔がちょっと赤かったりして。なんともなんとも・・・可愛いでしょう。

■U-12クラスでは・・・
一週目、クラスの雰囲気によっては、ゲーム前の休憩を長めにとり、「水分補給後、自分で練習をしておくように」言いました。練習をする子、ただなんとなく過ごす子、色々です。
経験はみんな様々です。
現時点で周囲に比べてどうかといったものも大切ですが、サッカーやスクールの経験が違う中で、みんなが上手になっていくためには、「今の自分よりも上手になるために」努力することがとても大切です。
一人一人がどのように練習に取り組むのかー。
木曜日、休憩中の様子を見ていると、周囲に関係なく、ひたすら自分で(相手選手がボールを取りに来ることをイメージしながら)ターンの練習をする子がいました。
同じことを何度も何度もやっています。他のワザはかなりスムーズにできる子です。このターンもそこそこのレベルではできるのですが、「より上手くなりたい」という感じで、一回一回気持ちを込めてやっていました。
この子は週に2回来ていますが、初回の練習時はここまでの行動ではありませんでした。その時は5年生・6年生の子は全体的に、「何となく過ごしている」子が多かったので、(練習開始時にも話していたのですが)練習終了後、「今の自分より上手になること」について、話をしたのでした。そして、次の練習時に、ここまで変わって(変えて)きたのです。初回練習時の、終わりの話を聞いている時の顔を見れば、しっかり吸収していることがわかりましたが、それにしてもさすがだなと感心しました。
上手いとか上手くないなんてことはあくまで現時点でのこと。
さらにパッと見の上手い、上手くないなんて、表面上のこと。努力する中でどう成長していくか、どんなことをつかむのか、学ぶのか。しっかりと中身のつまった成長をできるのか、そういったことの方が大切です。
他のクラスの子もですが、進んだり、止まったり、下がったりしながら、その都度何かを吸収し、みんなが、成長していってほしいと思います。

« 卒業・・・年度初めの頃・・・相手の気持ち・・・ | トップページ | 表情・手の先・足の指先・体の動き・・・ »

子供とのやりとり」カテゴリの記事