ムキになるなよ
(2009年12月 通信No.89より)
「ムキになるなよ」・・・4月の雨の日、ゲーム中にある6年生の子が言った言葉です。
そうかぁ、誰かがムキになったのかぁ。でもムキになるのもいいじゃないか。きっとサッカーが好きなんだろう、だからムキになったんじゃないのか。きっとサッカーを愛しているんだよ。良い子なんだよ、その子・・・。
ところで誰がムキになったの? ・・・・はーい、私で~す(良い子で~す)。
・・・実際にはムキになったのではないのですけどね。
ここのところ、ある子が、ボールを奪い返す楽しさ、真剣にボールを追いかけるサッカーの楽しさを感じかけているのです。それまで、口では強そうなことやかっこいいことを言っても、それに行動が伴わないことも多かったので(こういうことは、頑張りや本当の努力などに関係なく何かを得ている時に起こりがちなので)、実は心配だったのです。ですが、今度はちょっと成長できるかも、本当の強さもわかるかもと・・・。
やっとここまできたのに、この日は以前のようなプレー。つまり、言葉では強そうなことを言うわりに、プレーには本当の強さを持っていない。
「かまってほしくて何かを言う」にしては不適当な感じです。そういった言葉や態度については、その子には既に話を十分にしたことがあるので、もう今回は言いません。
そのかわりに、「もうこれ以上こんな偽の強さを本当の強さだと錯覚させない」「こういう状態で感じた浅い楽しさが本当の楽しさだなんて錯覚させない」と思い、接しました。頑張っている時のその子を思いきり認め、違うものは違うと伝える。この日だけでなく、そうしたことをここのところ続けていたので、その子も自分自身でプレーの楽しさ、充実度、達成感を感じるようになりかけていたのです。まだまだ、本当には感じきっていないでしょうが、「もう少し」というところまでは来ていたのです。
せっかく成長線が上向きになっているのに、それをまた以前のような下向きに戻すわけにはいかないので、この日も、その子がつかみかけていた本当の強さと本当の楽しさを思い出させようとしたのです。
私は、思い出させるためのプレーをしただけなのですが、その日、その子は何とも軽い「失礼な言葉」も何度も何度も私に言っていたので、それを見ていた他の子はきっと私がその言葉に怒ってムキになったと思ったのでしょう。
一緒にプレーしていた、ある6年生の子が「ムキになるなよ」と私に言ってきたのです。
その場で説明し、このことは落ち着いたのですが、この「ムキになるなよ」がとてもいい感じだったんです。
きっとこの子は、私がムキになってしまって、そのままだとゲームの雰囲気が壊れていくと感じたのでしょう。
言い方は雑でしたが、大人に対してちゃんと届く強さと、友達を守ろうとする優しさも含まれていて、本当にその場の雰囲気をコントロールしようとする気持ちを含む、何とも言えない空気を含んだ言い方でした。
こやつ・・・。生意気な言葉を言われながらも、思わず心の中で笑ってしまいました。
この子は、私に対して対等な言葉を使うことがよくありますが、言うだけのことはやるし、また聞かなければいけない言葉は聞く強さももっています。私は注意する時はかなり厳しく注意します。そんな時には聞くのが辛いこともあると思いますが、それでも本当に聞かなければならないことは、この子は笑ってごまかしたり、反省していないふりをしてかっこだけ強く見せるようなこともしません。かなり信頼できます。
この日も、あんな雰囲気の中で、こんな言葉を言えるほどになったとは、本当に嬉しいですね。
これからのさらなる成長がとても楽しみです。
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